ホーチミン、ハノイ、サパの旅-22 炎はええなあ

下りきったら滝があった。水しぶきが上がって寒い。適当に見たふりをしたり、トイレに
いったりしていると、ガイドが手招きをする。火をかこんで暖ったまっているのだ。
「これがバーベキューか?」いろいろ網で焼いて売ってくれる。
買わなくてもいいのだ。火の側は気持ちがゆるくなる。
そういえば昔、友人達とよくキャンプに行った。何か特別な催しをするとか、観光を兼ねて
とかいう目的は全くなくて、おいしいものを持ち寄って只ひたすら飲んで食ってばかりだった。
誰かが何かを作りながら、皆で食っては飲み、又、別の誰かが何かを作りながら又又食っては
飲むの繰り返しなのだ。料理の名人もいたし、妖しい料理をつくるやつもいた。
ビールもあれば、焼酎もあった。ウィスキーもあったし、妖しい酒もあった。
そんな夜更けに、散々酒を飲んでおいしいものを食った後に、焚き火を囲んで
わけのわからんことをいつまでも又飲みながら、何か食べながら喋っていたものだ。
あんなことがよくできたものだ。
そう言う時、きまって、「炎はいいなあ!」とひとり納得しきっている人がいて、
「炎はいいなあ!」と感動しながら、酔っ払って炎にのめりこみそうになったり、ゲロを
はいたりしていた。
酒にだけではなくて炎にも酔っていたのだ。
「友情に酔った?」、そんなええもんではなかったことは確かだ。
そんな事があって、やっぱり、「炎はええ」のだ。
焼き芋は見たらわかる。
「これは何?」、「竹にご飯を詰めたやつ」、「中国で食べたことある」
「これは何?」、「チェストナッツです」
何やろ?、見た目はすなずりみたいやけど、木の実なのだ。
焼き鶏も見たらわかる。「さっきのやつかな?」
「焼き芋食べよ、幾ら?」、「5000ドン」
1000で割って5倍したら25円だ。滅茶安いわけでもない。まあまあや。
「私は、この竹飯を」
こういう具合に集まるとつい食べたくなる。
ガイドは、焼き鶏を食べるらしい。

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滝の音がごうごう聞こえるが、見に行った人も寒いから戻ってきた。
いつまでたっても休憩は終わらない。
「炎はええなあ」

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