「真夜中の密室」。
ジェフリー・ディーヴァー、著。
ネット社会の恐怖。
今は、ネットに個人の情報が溢れてる。
個人の暮らしの中で、綺麗な写真やら、楽しそうな団欒やら、仲睦まじい触れ合いやら。
ありとあらゆるものがある。
他人にはほとんど興味ないようでもあるが、もしかして、悪用することを考えたらとんでもない情報の宝庫かも知れないのだ。
例えば、誰かがターゲットになったとする。その人が、ユーチューブやインスタグラム、その他、いろんなところに投稿するような人であれば、その画像や文章の端々を注意深く分析したら、どこに住んでいる? どんな建物? どんな部屋? 間取りはどう? 窓や扉の防犯は? ちらりと映った映像を元にいろんなことが浮かび上がってくる場合がある。あるいは、その知り合いが、なにげなく上げた映像やらに映り込んでた情報が使われる場合もあって、もしかしたら、その人の行動パターンやら、趣味趣向、金回り、ありとあらゆることが探り出されてしまうかもしれない、そういう世の中なのか?
それをもとに、性犯罪であったり、強盗、空き巣、詐欺のターゲットにいつなんどきされてしまうかわからん、おそろしい時代なのだ。
これは、小説の中の話だけではない。
現実にも起こりうるし、いろんな形で起こってる。
ついこないだから世間を騒がしてる、フィリピンからの強盗指令の話なんかもそういう一環であるし、
ストーカー殺人なんかで、相手の居所を割り出す事件も一杯あるし、
ロシアやらミャンマーやら、国家的な犯罪行為の証拠を暴き出す、OSINTの活動なんかはその大規模なやつだ。
もっと、手の込んだ犯罪が起こりそうで恐ろしい。
この本でも、犯人がターゲットの私生活を炙り出して、襲撃する機会と方法を創りだすのにそういう手法が使われてる。
それを追うのが、お馴染み、リンカーン・ライムの私立捜査チームだ。
数粒の砂粒の分析から犯人の犯行の証拠を暴き出す恐るべき調査能力を持っている。
しかし、相手は、ネット情報を駆使する能力がある上に、稀代の解錠師であるらしい。
さて、犯人の正体は?
アヴェレル・ウィテカとは何者? メディアグループの実態は? そしてどうなる?
暗黒街の大物、ヴィクトール・ブリヤックのビジネスの内容は?とてもうさんくさい?
オークションで売られているモノとは? 実は情報なのか?
コンテンツ・モデレータとは何をする人?
犯人に迫る、アメリアとライムのチーム。
さて、解錠師を追い詰めれるのか?
どんでん返しにつぐどんでん返し。
とても楽しめる
とても面白い。
わしの勝手なおすすめ度。
星3つ半。
「死神と天使の円舞曲」
知念実希人著。
霊力が解き明かす。
平間大河は、恋人、柏木美穂と両親の、主に父親の反対で引き裂かれたままだ。
必ず一人前のイタリアンの料理人になって帰ってくる。その時は必ず結婚しようと、東京にでる。
数年後、彼は帰ってきた。
しかし、美穂の様子はなんだかおかしい。
愛が消えたのか? でも指輪は受け取った? なぜだ?
子供がいるのか? なぜだ。
何故か霊力を持った猫がいる。犬がいる。クロとレオ?
彼らの役割は?
そして、美穂が死んだ。
病気の秘密は?
彼女の恨みはどこにいくのか? 彼女の霊はどこに行くのか?
ちょっと異色の面白さがないではないけど?
ミステリーとしてはどうなんやろ?
霊やら神の助けがあるのは邪道ではないか?
とても中途半端な感じがする。
わしの勝手なおすすめ度。
星2つ半。