「五葉のまつり」
今村翔吾 著
「戰だけが闘いの場じゃない」、企業戦士的さむらい達の群像。
なるほどこう来たか。
戦国モノ、幕末モノはとても人気が高いし、知った名前がいっぱいでてくるんで読みやすい。
親しみやすい。
わしも大好きだ。
みなさんカッコいい。
秀吉の躍進を支えた5人の奉行達。
石田三成、増田長盛、長塚正家、浅野長政、前田玄以。
それに大谷吉継たち。増えたり減ったり。
石田は行政、増田は土木、長塚は財政、浅野は司法、前田は宗教。
そういう役職があったわけではない。得意が役割を決めていく。
下克上の戦国時代、それぞれがポジションをゲットできたのにはワケがある。
親分たちの城取り物語とは違った、おもしろさがあってとても新鮮だ。
いつの時代も、地位が人柄を決めたり、役割が人の価値を決めたり、そんな場合もないではない。
仕事のなかで彼らは育っていく。
わけわからん暴君であっても、権力第一人者、その人の命令は重いし、やりがいもある。
朝から晩まで、夜も寝ないで、身をすり減らして働く。
なんだか、バブルの頃の企業戦士の話を読んでるみたい。
真っ只中であくせくしてたワシらには、わかりやすい。
えらくおもろいやんか。
という始まりであった。
しかし、後半なんだかちょっと飽きてきた?
なんでやろ?
ちと躍動感が?
ワクワクが?
わしも集中力が衰えた。
本がおもろないんか? 彼らの人生がおもろないんか?
わしの勝手なおすすめ度。
星三つ半。
「大人のための残酷童話」
倉橋由美子 著。
「愚かな人間が幸福になることはありません」白雪姫。「人は下半身には恋しないものです」人魚の涙。
書棚を見てたら随分古い本を見つけた。
この人の「大人のための怪奇掌篇」はとても面白かった。
全くの創作怪奇短編集。とてもシュールでとても怖い。とても面白い。
エスプリが効いている。
この本は、よくある童話の話をベースにした短編集。
人魚の涙
一寸法師の恋
白雪姫
世界の果ての泉
血で染めたドレス
鏡を見た王女
・・・・・・
よく知ってる童話がこんな話に変わるのか。
これは素晴らしい。
とてもビターでとても妖しい。
エロチックでユーモアがある。
シュールで残酷でもある。
ええですな。文章の感性がすばらしい。
一つ一つの物語の末に「教訓」がついてる。
これまた、エエではないですか。
オチのようで、余韻のようで。
山下清澄の銅版画がまた素晴らしい。
とてもエエ本でした。
わしの勝手なおすすめ度。
星五つ。
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