ポール・オースター、「鍵のかかった部屋」
すごい本です。文も面白いしスピーディだし、内容も充実しています。
何よりも構想がすごいです。
失踪した友人とその妻。その妻と恋に落ちる男。
探しているようで探されている。
追い詰めているようで追い詰められている。
友人の残した原稿がすばらしい成功に。そして、破滅へ。
二人の男の心の旅路の物語が、まるでサスペンスのように展開する。
「・・・・彼は別の問いを問うことによって問いに答えたのだ。
だからすべては開かれたままであり、未完の、ふたたびはじめられる
べき状態のままだった。・・・・」
3部作、残りも読まなくては。
畑井弘、「物部氏の伝承」
興味深いが難しい本です。
古事記と日本書紀、所謂記紀の世界です。
じっさいにあったようななかったような。
それが実はどういう意図と背景で編纂されたのか、その部分を
物部氏の起源を辿るなかで解きほぐして行きます。
銅器をあつかう農耕文化の民を
鉄器の武具をつかう騎馬民族がまきとり複合して大きな国家を
作っていく中で、一つの役割として存在した部族名称であって
明確な一族があったわけではないと言ったような話でした。
記紀の頃の色んな言葉や名称が朝鮮語をベースに出来ていると考えた
方が合理的だというのは、なるほどという思いでした。
毎週火曜は最近夢中で読んだ本の話です。