最近夢中で読んだ本、張岱、色川武大

  • 2009年10月13日
  • 2人
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張岱、「陶庵夢憶」
張岱は明末、清初の頃の文人、史家である。号は陶庵という。
「明朝瓦解までの前半生、およそこの世にある美しきもの、
楽しきもの、愛すべきものはこれをとことん貪って飽くことを知らなかった」
本のカバーにこんな風に書いてある。
ありあまる財産がありながら科挙の試験も受けず、あらゆる贅沢を尽くすだけの
暮らしだったけど、明の瓦解と共に財産を全て失ったという。
そんな食うにも事欠く暮らしの中でも、まるで今見てきたかのように生き生きと
書きつづられたのがこの本だ。
上海の近く紹興の人だから、良く行く所が舞台になっている。
杭州の賑わい、西湖の話。
南京の秦淮河に遊ぶ話。昔は遊興の巷だ。
鎮江の金山寺。夜中にいきなり乗り込んで僧たちをたたき起し、観劇さわぎだ。
茶は水が第一と言う。この茶はどこの名水で淹れるべきとたちどころに言えるし、
飲んだ茶がどこの名水で淹れたかをたちどころに言いあてる事ができたそうだ。
「香雪酒」ってどんなのだろう。紹興酒の一種だろうけど。
「蘭雪茶」ってどんなのだろう。

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色川武大、「あちゃらかぱい」
浅草芸人の世界だ。
エノケン、バンジュンといえば名前くらいは知っている。
土屋伍一、林葉三、清水金一といわれてもわからない。
戦中戦後のどさくさ時代。
芸人の暮らしははちゃめちゃだ。金はなくても使いたい放題。
男と女もくっつき放題。しかしどこか悲しい、結局は破滅しかない。

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愛すべきデカダンスの世界なんだろうなあ。

毎週火曜は最近夢中で読んだ本の話です。