物置の整理から。
物置の整理をしてる話を前にした。
いろいろ面白いものも発見してる話もちょっとした。
なにしろ、当年98歳の義母の母親が103歳まで長生きして、その人と、そのご主人、つまり、わしの義理の祖母と祖父が残した若い頃の家具やら、身の回りの品を整理してたんで、大正、昭和の香りを残すものばっかりだ。写真やパンフレットや切手やいろいろ、見てるだけでとても楽しい。
桐の箪笥、発見。
そんな中で、桐の箪笥があった。
その義理の祖母が結婚した時に持って来たモノやと言うんで、ゆうに百年は経ってるはずだ。
そのわりにはまだしっかり形をしてる。
普段使いのやつで高級なものやとは思えへんけど、とても味がある。
しかし、当然ながらかなり傷んでる。
表面は、全体的に汚れと使い痛みで、ダメージはそれほどない。
裏板はあちこちが割れて、損傷がひどい。
引き出しは1箇所だけ底が破れてる。あちこちにゴキブリの卵の鞘がこびりついてる。
今はゴキブリはいないんで、これは昔の遺物であろう。
箪笥の修理に挑戦。
とにかく、洗ってみよう。
熱湯をかけたら一番ええんやろけど、面倒なんで水洗いする。タワシでゴシゴシやるのだ。
桐の箪笥は砥粉というので塗装してるのだそうだ。それを全部洗い落としたらええんやろけど、とてもそんな面倒なことはできへん。洗い落とした上で、さいど砥粉を塗って完璧に再生するなんてことまでは望んでない。適当に使えればいいし、使用感が残ったほうが味わいがあると思う。
大分綺麗になった。
これで十分に乾燥させよう。
最後に軽く塗装したいと思ってるんで、乾いたら、軽くサンダーをかけてみる。
いい感じになってきた。
裏板を貼り替える。
裏板を全部外した。よう見たらこの箪笥は釘を使ってない。というか木釘を使ってる。全体に薄めの板を使ってるんでとても軽い。繊細なんや。
裏板も桐の木を使ってる。わしは、適当にホームセンターでベニヤ合板を買って間に合わせる。
木釘を使うのも無理なんで釘でやってしまう。
しかし、やはり先人の技術はすごい。平な面に打ち込むのは問題ないけど、薄い板に縦方向に釘を打つとすぐに割れてしまう。木釘やと問題ない。
こまったけど、しょうがない。割れんようになんどかやり直しつつええ加減に仕上げてしまった。
裏面やからまあええとしょう。
底が割れてるところは釘で打って補強することで良しとしよう。
亜麻仁油で塗装。
これで大体は終わった。
では、やはり少し、表面保護やら、防水やらのために塗装した方がいい気がする。
何を塗るか。
プロ的なやつはできへんしやりたくない。
オイルフィニッシュなんかを考えたけど、もっと簡単に亜麻仁油を塗るだけで済ませてしまおうと思う。
亜麻仁油とは、亜麻という植物からとったオイルで、エジプトのミイラ保存にも使われていたらしい。
カビや腐食防止に効果がある天然の塗料である。
幸い、昔買った500mlのやつがほとんどそのまま残ってる。
亜麻仁油は塗って、刷り込みながら拭き取るというやりかたでいいみたい。
ハケは百均で買って使い捨てする。
布は、亜麻仁油が酸化する時に、発熱して最悪発火したりするらしいんで、気をつけないといけないそうだ。
わしの場合は、薪ストーブで燃やしてしまおう。
これでしっかり乾燥させる。
完成した。
できた。とても良い。
写真で見たら、あんまり変わりないように見えるかも知れんけど、実際はしっとりと艶があって、しっかりオイルに保護されてるように見える。
本当は引き出しの金具なんかも換えたら面白いんかもしれんけど、殆ど痛んでへんからこのままでいい。
まっさらに蘇ったというわけではないけど、味があるではないか。
これは使える。
自分用に使ってしまおう。
てなことで百年前の箪笥が蘇った。
とても面白い。