友を偲ぶ。
さて、元町まで来てランチを食ったあと、集合時間までもう少し時間がある。
なんで集合するかと言うと、実はあんまり良い話ではない。
学生時代の友人が亡くなったので誘い合わせてお悔やみに行くのだ。
この歳になると、知り合いの訃報はよくある話だ。
それが自分であっても何の不思議もない。
心して暮らさんとあかんのだ。
てなことで、集合場所の舞子駅に行く前に、少し時間を潰していこう。
こういう時にわしにとってちょうどいいのがジャズ喫茶だ。
「JamJam」に行こう。
ジャズ喫茶に行こうと、元町商店街を歩く。
随分長いことこのあたりを歩いてないなあ。それにしても、気のせいかもしれんけど、やっぱり神戸の街ってどっか違うなあ。和歌山はもちろん、大阪や京都ともちょっと違う、どこかしらエキゾチックな香りがするような気がする。
歩いてても楽しい。
しかし、油断してると、「JamJam」がわからんようになった。
ちょっと焦る。いつもは駅の近くから行くけど、今日は反対の離れたほうからなんでちょっと勘違いした。
ここだ。
地下に降りる。
ジャズ喫茶やなあ。
中に入ったら、音を聞いたら、心のスイッチが入る。
ジャズ喫茶やなあ。
うれしいから、一番前の真ん中に行く。
控えめにちょっと外して座る人が多いけど、わしは、遠慮してる余裕はないんでまっしぐらに席につく。
ちょっと軽く一杯やりたいとこやけど、お悔やみに行ったあと友人たちと献杯するよていやから、今はちょっと控えておく。
コーヒーをいただく。
ジャズはやっぱり大音量がええなあ。
聴きながら友を偲ぶというか、学生時代をしのぶ。
昔の想い出、ジャズの想い出。
あの頃は、お金がなかったんで、下宿で、レコードプレーヤーの出力をトランジスタラジをに直接つないでジャズを聞いていた。なんで音が出たんか今となってはわからへんけど、当時はとてもワクワク。
ちょうど、マイルス・ディビスやら、ジョン・コルトレーンやらの全盛期。ブイブイ吹きまくってる。
友達たちはやかましいなあ。
こんなんばっかり聴いてたら気い狂そうやなって非難轟々。
音が歪んでようが、出てない音があるだろうが、それより音楽を聴ける方がうれしい。
学生時代を過ごした北九州市では、小倉駅前の「アベベ」というジャズ喫茶によく行ってた。懐かしいなあ。
大音響の薄暗い狭い空間。青春やなあ。
神戸では「さりげなく」とか、大阪では、北では「バンビ」、南では「デューク」とか、京都では「シャンクレール」とか、「ヤマトヤ」とか、その他いろいろ・・
それから何十年も経って、現役時代、ある時、京橋の商店街の場末の居酒屋で飲んでたら、あの「デューク」の経営者だった人がその先のそこのバーのマスターやでって教えたもらった。
さっそく訪ねて行っていろいろ教えていただいた。
ジャズやら、ジャズ喫茶の想い出はわしの青春にとても重なってる。
語れば一杯想い出はあるけど、誰も興味はないやろう。
ジャズはやっぱり大音量が良い。
じっくり聴いてたら、ここの音はええですなあ。
部屋の作りがガッシリしてるし、スピーカーはしっかり固定されてる。
音は大きいけど、無理なく、ゆるぎない。
ええなあって思ってたら、時計からビリっと警告音。80dB以上の環境で云々かんぬん・・・
こっちは楽しんでんやからほっといてくれ。
うるさいやっちゃ。
堪能してるうちに時間がきた。
では、まいろう。
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JamJamの地図。