題名と作者。
「罪人を召し出せ」、「鏡と光 上」、「鏡と光 下」。
ヒラリー・マンテル。
3つまとめて感想を。
概要
これに先立つ、「ウルフホール」上下と併せて、全て、英国王、ヘンリー八世の結婚騒ぎとクロムウェルに関する話が延々と続きものになっているからなのだ。 どれも、それぞれが500ページ以上の大作ばかり。 読むのはえらく骨折りだった。 ヨーロッパの中世ものは、あんまり読んでないんで、登場人物は知らん人ばっかり、血脈やら人脈やらがさっぱりわからへん。
感想。
「罪人を召し出せ」。
王とつぎつぎ代わる王妃とクロムウェル、取り巻きたち、波瀾万丈、てんやわんやの大騒ぎ。
前作、「ウルフホール」で、とうとう王妃、キャサリンオブアラゴンとの結婚が無効であるということを内外に認めさせてしまった。これで、めでたくアン・ブーリンと結婚することができる。 離婚ではなくて、元々の結婚をなかったことにする。こんなんありか? さて、アン・ブーリンは絶好調。王妃に即位してしまう。 そして、早速ご懐妊。後のエリザベス一世だ。 しかし、ヘンリーはガッカリ。 宮廷内は不穏な空気。 ヘンリーに事故が? あわや死にかける。 救ったのはクロムウェル? 前の王妃、キャサリンの娘、メアリーの王位継承権はどうなる? 後ろ盾は神聖ローマ帝国とカトリック教会。 結婚というよりは、政治権力の争いなのか? 失脚した枢機卿ウルジーに代わって、クロムウェルが台頭。 アン・ブーリンに男子誕生が待たれる。 しかし・・・ どうやら暗雲が・・・・・ そしてアン・ブーリンにも悲劇が・・・・・ 流産から破局へ・・・・ そして・・・・・ つぎはジェーン・シーモアに目がつけられた。 離婚ができない宗教は、次々に悲劇を生む。 好色、淫乱のお話というよりは、ヨーロッパ中の王家や貴族たちの権力争い。 それが、凄まじい。 弾き出された人たちは、ロンドン塔へ。幽閉の後は断頭台。 なんと恐ろしい。
「鏡と光」。
そして、とうとうジェーン・シーモアに待望の男子誕生。 全ては万々歳と思った途端に亡くなってしまった。 またもやお妃探し。 そして、ローマ法皇庁との対立は続く・・・・・ 次はアン・オブ・クレーヴズとの結婚・・・・・ 果てしない。 英国王はめげない。 カトリックからの離脱も進む。修道院を通るカネの流れを断つ? フランス王フランソワとの駆け引き? カール五世との駆け引き? カネと権力、女。
それに姦通がいたるところで・・・
離婚できへんからこうなるのか? お行儀がわるいだけなのか? ヨーロッパって複雑怪奇? 歴史に疎いわしには理解が難しい。 どの国とどの国がどうなってんの? わけわからん。 誰と誰がどうなってんの? 複雑すぎる。 さて、とうとうクロムウェルにも失脚の時が来たか?
締めくくり。
日本で言えば応仁の乱の頃。
この頃、英国では、まだ手づかみで飯を食ってはったらしい。
わしらから見たらなんと野蛮な。それでも洗練されたヨーロッパ文明の中心地。
中心人物たち。
文化にも違いがある。