先日、人気の店で飯を食うために並んでいて、ふと見上げたら酒屋の看板があった。
良く見ると隣が酒屋だったのだ。
酒の小売販売の認可制度がゆるくなったので酒を売る店が増えた。
スーパーやコンビニでも売っている。
その分、昔からの酒屋が減ったように気がする。生き残るには厳しい時代なのだ。
ずいぶん昔は酒は量り売りだった。徳利を持って酒を買いに行くという話が
時々出てくる。
しかし、酒屋で看板を見ることは殆どなくなった。昔は酒屋といわず、いろいろな店が
看板をあげていたもので、その名残をときたま見かけることがある。
堺のこの看板の店も、昔の名所案内に出てくる位だから、そういう時代からあるのだろう。
新泉、アサヒビール、金露とある。アサヒビールだけが今も残っているが、金露というのも
つぶれたそうだし、新泉といえば堺の地酒だったそうだが、もう今はない。
こういうのがあったら飲んでみたいものだ。
前に犬山に行った時は、古い造り酒屋が残っていて、味のある看板を出していた。
私の田舎の地酒、「黒ウシ」も昔からの造り酒屋、「名手酒造」が出しているものだ。
こんど帰ったらどんな看板を出しているのか見てみよう。
中国では、こういう看板を出しているのは殆ど見た事がない。
老舗では「老字号」の称号と店名の金属板が貼ってあるところがあるが、他は、扁額だったり
対聯でかざったりしているかもしれないが、それは殆ど飲み屋だろう。
酒販売店の老字号ってあまり見ない気がするなあ。
むしろ、田舎の村に酒屋があって、その印に酒旗があがっているというのが、むかしからの
おきまりだ。昔だから、酒屋件一杯飲み屋だったのだろう。
詩にも画にもよく出てくる。
例えば、
杜牧の有名な江南春絶句
千里鶯啼綠映紅,
水村山郭酒旗風。
南朝四百八十寺,
多少樓臺烟雨中。
春の小雨に煙る郊外の村里の緑滴る中に、はためく酒旗が目に浮かぶようだ。
こんな詩もある。
韋莊という人の題酒家
酒綠花紅客愛詩,
落花春岸酒家旗。
尋思避世爲逋客,
不醉長醒也是癡。
酒は緑、花は紅、客は詩を愛す
自分だけ酔わずにしらっとしてるわけにはいかんじゃないですかと言う事かな?
毎週金曜は酒や茶に関する話です