最近夢中で読んだ本、平松洋子、北方謙三

  • 2008年6月24日
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平松洋子、「平松洋子の台所」
一見何の変哲も無いブリキの茶筒だ。
「そっと蓋をして缶の横のブリキの継ぎ目を合わせて手を離して下さい」
「自分の重さで自然に蓋が下がって閉じます」と同封の説明書に書いてあった。
成程、「すーーと蓋が静かに下がる」
すばらしい。嵌めあいの妙だ。すごい技術だ。
この本で読んで、さっそく開化堂の茶筒を買ってしまった。
本の中にはモノへのこだわりと愛着が溢れている。
モノの美しさやモノとしての味、面白さへのこだわり、
料理の道具としてのこだわり、
優れものの機能としてのこだわり。
いろいろな角度から、気に入ったものを求めていく姿勢が実にすばらしい。
この心を学ぼう。
そう思って、アジアの旅の中で、私なりのこだわりのモノを探していこうと
改めて考えた次第だ。

北方謙三、「替天行道」
水滸伝19巻のメイキングブックといえる本だ。
完成までの本の作られ方、作家と編集者と読者との関わりの中で
そだってきたものなど、超大作ができていく過程が熱く語られている。
北方水滸伝が、中国の原作や伝承の翻訳再構成やリメイクといった範囲を
大きく越えて、実は殆ど新作にちかいものだという事がよくわかる。
これを読み続けたのは実に楽しい1年間であった。

hon080624

毎週火曜は最近夢中で読んだ本の話です。