最近読んだ本、「アポカリプス・ベイビー」、「大伴旅人ー人と作品」。

  • 2022年5月28日
  • 2人

ヴィルジニー・デパント、「アポカリプス・ベイビー」。

この人の作品、「ヴェルノン・クロニクル1 ウィズ・ザ・ライツ・アウト」、
「ヴェルノン・クロニクル2 ジャスト・ライク・ヘヴン」を読んで、3部作の3つ目をが
翻訳されるのを楽しみにしてたら、こんな本を見つけた。後編というわけではないけど、
あの空気をまとったままつながったような世界があらわれる。
大都会の中の異空間? 異次元の世界? わしのような感受性や想像力が低い人間には
ついていきがたい世界?
知らんけど。
強烈な世界。
さてルーシー・トレドはパリの調査会社に勤めているしがない調査員。
仕事は単調、生活も単調、いつまでたってもうだつがあがらない。
今は、女学生ヴァランティーヌの素行調査みたいなやつ。適当にやっててもどうにでもなる。
と思った矢先、逃げられた。
地下鉄の駅でまかれてしまったのだ。
依頼人、娘の祖母がどなりこんでくる。上司におこられる。何とかせんとあかん。
ハイエナという凄腕探偵がいるらしい。
「ヴェルノン・クロニクル」と繋がってる? あの時のハイエナと同じ人?
LGBTの世界? 大金を提示。彼女?が助けてくれるらしい。
学校を調べる。家族を調べる。
ヴァランティーヌの父フランソワは売れない作家。母は娘を捨てて出ていった。
交友関係を洗う。誰もが考える当然のところに向かう。
舞台はバルセロナへ。
さて、一体何が起こっているのか? 行かれる若者たち。悩める若者たち。
あたしはペスト、コレラ
鳥インフルエンザにA爆弾。
放射性の淫乱少女、
心臓には悪しかない
超ウラン性の歩くごみ箱
汎用性の感染源
カルリート・マガリ ?
シスター・エリザベス ?
左翼? 右翼? 宗教テロ?
事態はとんでもないことに??
とても面白い。読み出したらやめられへん。

中西進、「大伴旅人ー人と作品」。

前に大浜厳比古という人の「万葉幻視考」という本をよんで衝撃を受けたことがある。
万葉集というのは古代人の素朴で大らかな歌声を拾った、古き良き日本の伝統息吹を素直に伝える
ものである。
なんてええかげんな理解のしかたであったけど、そうでもなさそう。
とても意図的、政治的、に、表向きはそうはみえないように巧妙にしかけられた、歌集で
あるみたい。
年表や系図をみながら一生懸命読んでも、浅学なわしにはなかなかすんなり理解できへん
難しい本であった。
そんなこんなで万葉集って何? どんなん? ってのは結構興味がある。
この本は、万葉集の本流である大伴家持や山部赤人みたいな人のことではなくて、
あえて、その親の世代である、大伴旅人に焦点をあてて描かれたやつだ。
とても面白い。
彼の人生は、太宰府の師に任命されて、つまり都から九州に左遷されて変わったのだ。
雅な暮らしから田舎に。なさけない。哀しい。とばかりではなかったらしい。
ちょうどその頃、九州にいた山上憶良たちと交友があり、ある種の文化人サロンを
作っていたみたい。
あらたな歌の境地が生まれた。
「讃酒歌」、これってとても良い。陶淵明とはまた違った境地。
和歌による集団制作、「梅花の宴」。王羲之、蘭亭、曲水の宴の世界?
「松浦川に遊ぶ」、中国の仙郷ものがたり、「遊仙窟」に擬した世界?
とても良い。
そして、妻の死。
世の中は空しきものと知る時しいよよますますかなしかりけり
憶良が旅人になりかわって作った「日本挽歌」などなど。
万葉集ってとても良いけど、とても難しい。
じっくり読んでみたい。

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