マーク・オーエンズ&ディーリア・オーエンズ、「カラハリが呼んでいる」。
とても素晴らしい本だ。これは小説ではない、ドキュメンタリーだ。
その記録、その生き様、とても心を打たれる。
「ザリガニの鳴くところ」(後日ブログアップします)(これは小説)も
素晴らしかったけど、こちらも素晴らしい。
マークとディーリア、オーエンズ夫妻はアフリカに行こうと決心した。
そのために必死で働いたお金(十分ではないが)と僅かな荷物持ち、家財を
売り払ってカラハリに向かう。
誰も住んでない砂漠の真ん中だ。オンボロランクルを頼りに野生動物たちの
観察記録を始める。
もちろん道はない。水も燃料も食料も持ち込みだ。
果たして、野生動物の世界に彼らは受け入れられるのか。過酷な自然に
耐えられるのか。
ハイエナがいる。ライオンがいる。
いろんな動物がいる。狩りをするもの。捕食されるもの。
自然の掟は厳しい。
砂漠には雨期と乾期しかない。雨季は豊穣と繁殖。
乾季は生存のためのサバイバル。
時には長期に渡る旱魃に襲われることも。捕食するものも、捕食されるものも
飢えてやせ細る。
彼らはどうやって種を護るのか?
親と子のつながり、集団の暮らしとはどういうものなのか?
他人の子を育てることもあるのか?
二人は、動物たちの世界の中に暮らすことを受け入れられた。
動物たちに麻酔したのちタグをつけて追跡もする。
行動を日々克明に記録する。感動もあれば絶望もある。奇跡の再会もある。
何があっても自然に介入してはならない。
涙なくしては読めない自然の掟となりわいが・・・。
人々の暮らしや文明のエゴが動物たちに与える厳しいインパクト。
7年間にわたるフィールド研究のドキュメンタリーだ。
とても感動的だ。
梓澤要、「光の王国 秀衡と西行」。
西行ということばにつられて読んでしまった。
奥州平泉には、何年か前に友人たちと行ったことがある。
中尊寺と毛越寺だ。
都から遠く離れた奥州の地にこれほどの建築物を造ることができた文化が
栄えた時代があったということに驚いた。
というても、ただの気楽な観光の旅、それはそれでお終い。
記憶から消えてしまった。
それでこの本を読んで、また驚いた。
藤原三代って密かに凄い、権力を蓄えていたのだ。
平泉から青森の外ヶ浜まで続く幹線道路を造って、1町毎に笠卒塔婆を
置いていたらしい。とほうもない財力と権力だ。
そして中国貿易と密着した文化がある。
なるほど、これでは、鎌倉幕府がほっておくはずはない。
いつか滅ぼされる運命にあったのは免れない。
そういう栄枯盛衰が描かれている。
読み物としてはわかり易い。読みやすい。
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ありがとうございました。