時には深夜にジャズボーカルを聞くのも良いものだ。
真空管にオレンジの灯がぼーとともって、温まってきた頃、
レコードに針を落とすと、静かにピーターソンのピアノの
イントロが始まる。
続いて、サラの歌が、強いが繊細で、スインギーだが喧しくなく聞こえて来る。
やがて、時にはジョー・パスのギターが実に美しくからみ、
時には、レイ・ブラウンのベースが共に唄っている。
ルイ・ベルソンとドラムスも印象的だ。
迷惑にならないよう音を絞って聞いているが、それが返ってしみじみする。
このレコード、「サラ・ボーン&オスカー・ピーターソン、ビッグ4」
これほどの名手が揃っての演奏もめったにない組み合わせだろう。
ジャズボーカルが中心というよりは、各プレーヤーの絶妙のコラボレーションを
聞かせる一枚だと思う。
A面の4曲目、「You’re blase」とB面の最後、「When your lover has gone」
の2曲が特に気に入っている。
毎週木曜は、映画、音楽、書画に関する話です。