一瞬の救出劇

いつもの道をウォーキングしていた。
普段混まない道路が急に混みだした。道端に軽乗用車が止まっている。
「変なとこに車止めて、迷惑やなあ」と思いつつ、その横を通り過ぎようとしていたら、
「うぎゃー」というような甲高い叫び声が、一瞬聞こえたような気がした。
「えっ」と思って周りを見るが、わからない。「何やろ」と思いつつも行き過ぎようと
したら、又、声がする。良く見ると車の下に何かいるようだ。
犬か猫でもひかれて叫んでたのかなと思って更によくみたら、何と、子供が車の下に
なっている。
「これはえらいことや」とすぐそばに寄って行った。
前に自転車が倒れている。どうも車に当てられて何かの拍子にその車の下に入り込んだ
みたいだ。血は流れていないし、声も出しているから命に別条はないようだ。
うまいぐあいにタイヤとタイヤの間にはまり込んだのだろう。しかし出るに出れないと
いう様子だ。
通りがかった女性が、しゃがみこんで子供の電話番号や住所を聞いて、一生懸命親と
連絡をとろうとしている。勿論警察や救急車にも連絡済みだ。
だんだん人だかりがしてきた。
「この車やったら、皆で持ち上げたら上がるんちゃう?やってみませんか?」と
周りの人に声をかけた。「そやねえ」とうなずく人が多い。
しかし、子供が居る側が歩道に密着していて柵があって持ち上げるには不安定だ。
「ええけど、失敗したらえらいことやし」と言う人がいる。
「そやなあ」
救急車を待っている間に、何度か、同じ事をいう人が現れて、又、同じ結論になった。
その間、ずっと女性が子供の手を握って、「大丈夫やからね」、「もうすぐ救急車が
来るからね」と励ましている。
そうこうするうちに、まずレスキュー車が真っ先に到着した。
ばらばらと隊員が走り下りて来て、状況を把握し、子供のしたに毛布を敷き、酸素マスクを
セットし、歩道の柵を切り取り、子供の体をぐいっと捩じらせて、外に引き出し、
歩道に寝かせた。この間、5分もかからない一瞬の出来事だ。さすが、レスキュー
行動に何の躊躇いも無駄もない。必要な事を瞬時にやってしまう。見てるだけで大感動した。
この間に同時に到着した警察は、道を封鎖して交通整理をし、レスキュー部隊の活動場所
を確保している。
そうして、すぐに救急車が到着し、無事に子供を運んで行った。

政治とか経済とかいろいろ不安で不満な事はおおいが、こういう仕組みがきちんとまわって
いるのはありがたいし心強い。
感動の瞬間だった。
日本てええ国やわ!

jiko091107