島田荘司、「鳥居の密室 世界にただひとりのサンタクロース」
最近、島田荘司推理小説賞というのがあって、それは台湾、香港、中国など、中国語圏の
作家から選ばれるというものらしいけど、たまたまそう言う本を読む機会があってとても
面白いと思い、それ以降新しい作家が出現する度に楽しみで読んでいる。
そうなると、御大ってどうなんや?って気になる。意識して読んだ記憶はあんまりないけど
一度も読んだ事がないはずはないやろけど、是非読みたいと頭のどっかにBMしてるようでも
なかった。
それなら一回読んでみようと、図書館の本棚を眺めてるときに気がついた。
京都にはわりとよく行くし、錦の市場にもよく行ったことがある。しかし、京都の人に
とっては常識なんやろけど、わしは知らなんだ。錦の市場の東の外れというか入り口の
ところに錦天満宮があるのんくらいは知ってたけどここの鳥居が両側の家にめり込んだ
奇妙なもんやというのはこの本で初めて知った。
さすが御大、この誰にもわかりやすい話題性のあるブツをうまくつかって物語をひとくさり
ものしはったのだ。
宝ヶ池駅前に猿時計の店と呼ばれる不思議な喫茶店があった。
そこの娘、楓と知り合った僕は彼女の不思議な生い立ちが気になった。
色々調べているうちに段々と意外な事実が明らかになっていく。
楓はなぜクリスマスプレゼントが気になるのか?
実は、彼女の実の父半井肇が自殺した。
同じ日、その妻澄子が殺されていた。
その日、肇から姉の美子に電話があって、楓のことを頼まれ、自殺のほのめかされたのだった。
何故?
澄子が殺された現場も謎だらけだった。完全な密室の中。
どうして?
容疑者として浮かび上がったのは肇が経営してた会社の工員、国丸信二だった?
動機は?
謎ばかりがどんどんと押し寄せてくる。
不思議な縁で、ぼくと御手洗さん(名探偵)が事件の謎に迫ることになった。
不自然?
御手洗名探偵はその謎を解き明かすことができるのか?
思いもよらぬ科学の力が?
京都の鬼門には魔物が棲むのか?
家にめり込む鳥居が謎の核心になるのか?
たしかにミステリー作りのプロなんやろけど、御大にしては結構わざとらしい。
ウケ狙いが多すぎへんか?
面白くはあるけど、ちょっとがっかりかもしれん。
知ってる土地が沢山出てきそうな本にはつい手がでてしまう。
山本音也、「高野山」
表紙とタイトルにつられて何となくうさんくさそうやなあって思いつつもつい読んでしまった。
これもまた知ってる土地が山ほどでてくる。
舞台は、ついこないだ行った堀越観音のある大阪と和歌山を繋ぐ蔵王峠をとおる山道、
昔、戦国時代、中飯降城のあったあたりだ。
ここが高野山への拠点になる。
ノブナガの高野攻めが世の中を騒がせ始めこのあたりが熱を帯びてきた。
高野を守る応其上人は紀ノ川を挟んだ川張城を拠点になんとしてもノブナガの
進攻を防がねばならない。
彼の命を受けて、ナビキ、清目、イタカたち、修験者のような、忍者のような、妖術士の
ような女たちが、隙あらばとノブナガの命を狙う。
彼らは、ミツヒデに注目しだした。どうも彼の様子がおかしい。ノブナガに反乱するのでは
ないか?
敵の敵は味方となるか?
ノブナガ勢は高野山を攻めるのか?
高野には高野七口のルートがある。どこを狙うか?
ノブナガによって高野山に追われた功臣、佐久間信盛の運命は?
誰でも知ってる歴史を舞台に一捻りした面白さはないではない。
チャラいようでも面白くもある。
第一、今わしが住んでる九度山にすぐ近いあたりが話の舞台になってる。
なるほどあそこのことか、ここはこうやでと地形が頭にうかぶのが面白い。
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ありがとうございました。