大島真寿美、「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」
近松半二こと穂積成章はかの近松門左衛門の後継者であるなんて本人は思い込んでいる。
なんせ近松門左衛門が使っていた硯を父以貫から貰っているのだ。
浄瑠璃狂いも父譲り。
毎日朝から晩まで道頓堀の竹本座なんかに入り浸ってる。
でも本は書けない。
いつか書く。
それでも人形浄瑠璃狂いはやめられへん。なんだかんだで飯は食える?
やっぱり居辛くなって山科蟄居。
それを契機に物語作家になれるんやろか?
すこしずつ名前が売れ始める。仕事も来る。
ライバルも現れる。
文楽、伝統芸能の世界がまだ創成期だった頃。
歌舞伎も文楽もおんなじように小屋掛芸能でそだってきた話。
文楽、人形浄瑠璃を語るんやったらいろんな意味でもっともっと深掘りして
欲しいところやけど、まあええか。
大阪、道頓堀の庶民の暮らし、芸能の暮らし、賑わいと狂騒と物狂い、
そんなワイワイが立ち上がってとても面白い。
さて、半二にも畢生の対策が生み出せるのか?
「溶けて砕けてどろどろ渾然となった渦の中へ入って行って出てきて、
深淵には獰猛な生き物がいる。虚が実をくらいつくしていく。」
その先にあるものは?
夏祭浪花鑑
菅原伝授手習鑑
義経千本桜
仮名手本忠臣蔵
妹背山婦女庭訓 魂結び
その他もろもろ、いろんな作品が登場する。
それも楽しい。
吉川英梨、「雨に消えた向日葵」
小学校6年生の少女がある日、突然消えた。
何故? どうして? 家出か誘拐か?
誘拐なら、誰が? どうして? 何故?
杳として行方がしれない。
捜査本部が出来、埼玉県警本部、刑事捜査一課2係、奈良健市、警部補が現場に急行した。
すこしずつ情報が集まる。
目撃情報、豪雨の中を一人で歩いていた?
傘が見つかった。本人のものらしい?
1ヶ月前にその場所で男に付き纏われていたという姉からの情報。
犯人逮捕は時間の問題かと思われたが、そこから進まない。
美貌の少女に目をつけていた不良中学生たちか?
少女趣味の変態男か?
これ以上行き詰まったら、捜査本部が解散されてしまうのか?
少女のいなくなった家庭は崩壊してしまうのか?
時間ばかりが経っていく。
それでも執念の操作は続く。
少しずつ、ほんとちょっとずつ何かがわかってきているのか?
ある日・・・・・・。
とても面白い。
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