最近読んだ本、「複眼人」、「天子蒙塵、一、二、三、四」

  • 2021年9月15日
  • 3人

呉明益、「複眼人」。

この人の本は大好きだ。新しいのが出るのがとても楽しみだ。
「歩道橋の魔術師」、「自転車泥棒」はとても印象に残ってる。
太平洋のどこかに不思議な島があるらしい。
神が宿る島だ。ワヨワヨ島。
自然と人が共生する暮らし。厳しい環境ではあるが、先祖代々の知恵が彼らの
暮らしを見守っている。それを司るのが掌海師 掌地師
アトレは強くて逞しい若者だ。男は羨み、女は惚れる。
そして、ウルシェラと恋に落ちる。
しかし、アトレが旅立つ日が来た。長子以外は出ていかないと行けない定めなのだ。
いったいどこへ行くのだ。
そして、ウルシェラは彼を追う決心をした。
彼女はアトレに出会えるのか? それはいつの日か?
そして、台湾の海辺の村に住むアリスとトムの物語。
海のゴミが流れ着く村らしい。
ここにも悲しみがある。
ある日、夫のトムと一人息子トトが登山に行ったまま帰らない。
二人は一体どこに行ったのか?
必死に探すアリス。絶望するアリス。
トムの生き方、アリスの生き方。
海辺の村に自然の脅威が。
都会から逃れて暮らす先住民族の男と女。
ここにも愛と喪失の物語がある。
山の心を思い知らされた技術者。
そして、巨大な「ゴミの島」が押し寄せてきた?
:::::
「私は何ものか? 私は何者か?」
複眼の男の手の上の蛹はいよいよ激しく動き出し、
苦しみの惑星がまさに生まれる瞬間のようだった。彼の目は石英をのませたように
爛々と輝きを放っていた。
だがそれは輝いているのではなくて、一部の個眼から流れる、針先より細い涙なのだった。
::::(文中より)

とても面白い。
とても哀しい。
人の生き様。自然と人の暑い係わり。
とても考えさせられる。とても心打たれる。

浅田次郎、「天子蒙塵、一、二、三、四」。

蒼穹の昴、珍妃の井戸、中原の虹、マンチュリアン・リポートと続く、清朝末期の
歴史物語。
壮大な話は一貫して続いている。とても面白い。
これは、ほぼお終い近いんやろか?
烈風吹きすさぶ満州の荒野の中、極貧の暮らしにあえぎつつも誇り高い少年たち。
白太太の予言に導かれて、張作霖は英雄になるのか? 天下をとるのか?
李春雷は、帝王に使える身分になるのか?
西太后と清朝の運命やいかに?
ともりあがって、始まったやつが、
とうとう清朝が斃れる時がきた。
登場人物は清朝最後の皇帝、宣統帝溥儀である。
紫禁城を追われたラストエンペラーはどうなるのか?
日本軍の傀儡となって満州に行くのか?
史上はじめて皇帝を離婚をした、元皇妃文繡とは?
未だ最強の軍事力を持つ満州の張学良とその軍団の去就やいかに?
中原の覇者となるのは誰なのか?
袁世凱なのか?
毛沢東まで出てきた。
果たして天命は誰にあるのか? 龍玉はどこか?
歴史としては知ってるけど、人物関係を当てはめていくととても
面白い。
分かりやすい。
ワクワクする。

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ありがとうございました。