ドミニク・スミス、「贋作」
「森のはずれにて」 キャンパスに油彩 76.2cmx61.0cm
サラ・デ・フォスというオランダ1607-16??
冬の黄昏時、白樺の木に寄りかかって立つ幼い少女、片手を木の幹にあて、
氷結した川の上でスケートを楽しむ6人の人々を見ている。
はだしでボロボロの服を着ている。
長閑で平和で牧歌的な田舎の風景のはずなのに、
明るさや無邪気さや華やかさではない、ここに漂う暗く深い哀しみに一瞬で心打たれる。
この絵は何なのだ。誰が描いた?
サラ・デ・フォスというオランダの女流画家らしい。
わたしの元にもたらされたのはこの絵の贋作を作ると言う仕事だった。
ニューヨークに住む貧しい美術学生の私は、絵の修復のアルバイトをしていたつもりがいつのまにか
贋作に手を染めてしまっていた。
さて、自信はある。
しかし、キャンバスは手に入るのか? 絵具はどうだ。
その時代のキャンパスが手に入ったし、絵具も大丈夫だ。鑑定で見破られることは絶対ない。
それにしてもどうしてこの絵が手に入ったのだ? 誰が持っていた?
何と素晴らしい絵だ。
そして、うまくできた。われながら完璧だ。その時代の額縁も手に入った。
鑑定で見破られることは絶対ない。ただ一つこの黄色が少し気に掛かる。
しかし、これを見破れる人はおそらくいないだろう。
それから月日が月日が流れた。
私はシドニー大学で美術史の教授をしている。ある日、私が関わっている美術館にこの絵が
展示されることになった。
同じ作家の他の2点と共に。
生涯1点しか描いてないはずでは? 2点は本物と贋作か? 後の1点は?
なぜ本物と贋作が一緒にくるのだ?
私の人生に起きたこととは? これからくるのは人生の破滅の瞬間なのか?
女流画家サラ・デ・フォスの人生を辿ってみる。
あの絵が描かれた人生とは?
とても面白い。
素晴らしい。
エ
リック・マコーマック、「雲(Cloud)」
私、ハリーは不思議な縁で水圧揚水機や換気装置など鉱山などで使われる機械の製造販売の会社の
役員の一人になった。営業のために世界中をまわっている。
ある日、ラベルダのアベニーダ・デル・ソルを歩いていたとき折からの土砂降りの雨を避けるために
飛び込んだブックストア・デ・メヒコという古書店に飛び込んだ。
そこで、「黒曜石雲」という本を見て衝撃をうけた。
そこにはイギリスのエアシャー郡ダンケアン町の上空で起きた実に奇怪な出来事が記述
されていた。
その出来事とはどんなことなのか?
そして何よりも心惹かれたのはダンケアンという町の名前だ。
私には、到底忘れられない思い出の地ではないか。
その思い出とは何か?
グラスゴーの貧民街で生まれた私がようやく行けた大学にいるとき、不発弾の処理で故郷の
町が吹っ飛んでしまい両親がなくなり路頭に迷っていたとき助けてくれた不思議な夫婦の
紹介でダンケアンの街の臨時教師をすることになった。
そこでたまたま出会ったミリアム・ゴールトと恋に落ちたが、すでに婚約者がいて
結局はふられてしまう。
自暴自棄になった私は放浪の旅に出る。手っ取り早く水夫になって船員暮らしだ。
まずは西アフリカのラッカへ。
そして様々な数奇な出会いがある。恋の痛手から覚めやらぬまま人生の荒波に翻弄され、
港町から砂漠のなかへ、そしてまた船に乗り金鉱の町へ。気がついたらゴードン・スミスの
知遇を得て、彼の後継者となるべくカナダにいた。
彼の運命やいかに?
そして、「黒曜石雲」に心惹かれて、調査を始めたら、意外な事実が判明。
ダンケアンでなにがあったのか?
衝撃の結末か?
アフリカとインド洋とオーストラリア、カナダとイギリスを巡る冒険の日々。
とても面白い。
ブログランキングに参加しています。もしよかったらポチンとお願い致します。
にほんブログ村
ありがとうございました。