森見登美彦、「熱帯」
あの日、出会った本は何やったんやろ?
いつのまにか消えてしまった。しかし気になる。
汝にかかわりなきことを語るなかれ――。
確か、佐山尚一作「熱帯」という本だったような?
確か南国の話? 気になるけど内容は定かではない。部分的な記憶しかないようなのだ。
こうなったら見つけるしかない。
もちろん本屋には置いてない。図書館でも、古書店でも見つからない。
ある日、「沈黙読書会」という奇妙な会合に誘われた。
その名のとおり怪しげな人たちが集まっている。そしてここにはやはり「熱帯」を
探す人たちがいた。
そこで知り合った女性。
白石さんは佐川の出身地京都へ飛ぶ。
私も京都へ。
京大のある北白川あたり、千夜一夜物語の研究者が鍵になるのか?
謎の古書店、不思議な古本屋台。
そして、千代さんとは何者なのか?
カードボックスのカードには未来が書かれてる? 部屋の中に部屋がある?
そしていつのまにか、本の中の世界へ?
無人島にいたのはネモ船長? シンドバッド?
私は誰だ?
「熱帯」の島で何が起こる?
では、満洲で起こったこととは何だったのか?
物語の中の物語でも大いなる波乱がある。
荒唐無稽。
意味不明。
わけわからんながら、面白い。
ドタバタながら波乱万丈。
意味深調そうで奥が深くない。
アーナル・デュル・インドリダソン、「厳寒の町」
本の中から抜粋:
このような、1年で一番暗い季節、彼はいつもこの国の人々が人を拒絶する自然と
何百年もどう向き合い、生きながらえてきたのかを思う。
寒さ夜が更けるにつれていっそう厳しくなった。北極の氷がそのまま風になって
力を増し、北方から海に吹き付け、雪に覆われた荒野をいっそう猛々しい姿に
仕立て上げる。氷の風はスカルズヘイディンから降りてきて、エシャ山沿いに走り、
人家が散らばっている平地の上をさらうように吹き付ける。そこは地球の北の最果ての、
光り輝く厳寒の町だ。
町は冬眠に入る。
厳寒の季節が早く終るように祈るのだ。
アイスランドって行ったことがない。
未知の国はとても興味がある。
厳寒の街をエーレンデュル捜査官が走り回る。
街の匂い、街のざわめき、街の人々。
なるほどレイクキャビの裏街ってこんなんやったんか?
どこにもある都会の人の暮らしの姿、なりわい、それでもアイスランドはアイスランド。
ある日、子どもが殺された。ナイフで人突き。無残な死に方だ。
タイ人の母スニーが一人で育てているらしい。
もしかしたら人種問題が原因か?
この子には二ランという兄がいるはずだ。しかし、行方が分からない。
家庭を調べよう、別れた夫は問題ないのか?
アイスランド人とタイ人の結婚、言葉の違い、習慣の違い、価値観の違い、様々な問題を
抱えている。
スニーの弟は?
学校を調べよう。先生に問題はないのか?
同級生に問題はないのか?
学校での差別。教師のハラスメント。子供たちのいじめ。
様々な闇が浮かび上がる。
エーレンデュル自身も悩み多い人生だ。
娘の事、息子の事。
元上司が瀕死の床でくれたヒントとは?
とても面白い。
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ありがとうございました。