最近読んだ本、「リベルタスの寓話」、「おいぼれハムレット」

  • 2019年2月16日
  • 3人

島田荘司、「リベルタスの寓話」

島田荘司推理小説賞受賞作品という事で、台湾の作家や香港の作家の本を読んで
えらい面白いやんかって感心することが多かったけど、肝心の本人の作品を全然
読んでへんかった。片手落ちかどうかはどうでもええけど、興味はあって、たまたま
図書館で書棚を見てたらうまい具合に目についたんで読んでみることに。
「リベルタスの寓話」
いきなり国際的だ。しかも舞台はボスニア・ヘルツェゴヴィナの首都サラエボから西70km
のところにあるモスタルという街だ。
3人の男の死体が発見された。凄まじい殺され方らしい。
NATO犯罪捜査課からの電話で天才探偵御手洗潔の代わりに呼び出された石岡が必死の操作を
続ける。
殺されたのはセルビア人らしい。何故か?
ドゥブロヴニクに伝わる伝説、「リベルタスの寓話」とは?
ブリキの人形の内蔵入れ替えて救国の英雄になるのか?
それともクロアチア人とセルビア人の泥沼のような憎しみ合いの歴史が関係しているのか?
事態はどんどんと複雑にからみあっていく。
どうやら金が動いているのではないか?
RMT、リアルマネートレードとは何か? 舞台は東京へ?
ゲームの世界から仮想通貨へ?
しかし、犯罪は現実だ。
石岡と御手洗は犯人を謎を解けるのか?
謎は謎を呼び、ますます複雑に交錯していく。
果たして真犯人は誰か? ありえない血液型の謎はどう解く?
骨髄に関係がなるのか?
仮想通貨の所有者情報とは?

「クロアチア人の手」
日本へ留学中のクロアチア人、イヴァン・イヴァンチャンとドラガン・ボジョビッチ、
ある日、ドラガンが死んだ。
ピラニアに右腕を食われ、顔を半分食われている。部屋は密室。事故以外にあり得ない。
しかし、何かおかしい。
これは殺人事件ではないのか?
動機はなにか?
彼らの故郷、カルロバッツ村で昔、何かがあったらしい?
死んだのは本当にドラガンなのか?
セルビア人の血が交じる男に何があったのか?
御手洗はその動機を洗い出せるのか?
そして一番肝心な密室の謎を解けるのか?

確かに面白い。そしてクロアチア人とセルビア人の悲劇的な歴史と確執をえぐり出して
見せてくれたのはとても衝撃だった。
こんなこととは知らんかった。己の無知を恥じるばかりだ。
しかし、ミステリーとして読んだら、なにか物足りない。
仕掛けばっかり大仰で、わけわからんドタバタとあっけない謎解きが結構アホらし感を
呼んでしまう。
頭が痺れるような緻密な推理と理性とワクワク感に満ちた展開を期待したいのに肩透かしで
あったような読後であった。
確かに気宇壮大で複雑怪奇、難解至極の物語ではあるんやけどね。
ちょっと残念かな?
又、本の写真撮っとくの忘れた。

橋本治、「落語世界文学全集 おいぼれハムレット」

先日亡くなった作家の本。
ご冥福をお祈りします。
落語世界文学全集という謳い文句に惹かれて読んでしまった。
舞台はハムレットの老後の時代、場所はそのままデンマーク。
最初から大笑いを期待しすぎて読んでしまったんで、なかなかスタートがきれない
もどかしさが結構あったような。
登場人物がそっくりそのまま爺さん婆さんになって、耄碌して認知症になりつつあったら
こんな世界が生まれるかという発想、とても面白い。
疑心暗鬼か認知不足か、深謀遠慮か呆けたのか、頭は動いても体は動かん。
ハムレットとボローニアスはいったい何処にいってしまうのか?
死んだはずの母や叔父が大活躍?
いったいどうなってんの?
こうなったらあちらに居ろうが、こちらに居ろうが大差ないというやつか?
読む方も認知症になりつつあるんでちょうどええ世界かもしれん。

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ありがとうございました。