最近読んだ本、「刀と傘」、「応家の人々」

  • 2020年3月6日
  • 2人

伊吹亜門、「刀と傘 明治京洛推理帖」

頃は明治維新の真っ只中。
日本の文化開明の頃、複雑怪奇な殺人事件を快刀乱麻、解明していく男たちがいた。
佐賀の乱を起こした江藤新平、日本の司法を創った人だ。
司法卿になる少し前、部下には尾張藩御用人でもある鹿野師光がいて、弾正台の京都支台で
犯罪捜査に当たっている。
ある日、五丁森了介という役人が怪死した。
一見切腹のように見えるが、惨殺されたのか?
無くなった書簡とは、まさか英文で書かれてた?

政府要人、渋川広元が腹を切り、喉を切って死亡しているのが発見された。
部屋は内側から戸にかすがいされ、密室状態。
それでも殺人が疑わしい。密室の謎は解けるのか?

京都府立監獄舎にて元兵部権大丞、平針六五は国事犯として死罪が確定している。
その斬首の日当日、刑を目前にして毒殺された。
おかしい?何故か?
彼は斬首担当者の父の仇でもあった。
果たして犯人は誰、何故? どうして殺した?

市政局次官、五百木辺典膳が殺された。
妾の沖牙由羅が賊を発見し銃で撃ったらしい。
賊は死亡。被害者は賊が殺した?
一件落着?
どこかおかしい?

司法卿、江藤新平、野に下る。佐賀に帰る途中京都へ。
何故?
そして事件が?
傘の秘密とは?

異色のミステリー。舞台設定とともに楽しめる。
とても面白い。

日影丈吉、「応家の人々」

この作家の存在は川本三郎という人の「台湾、ローカル線、そして荷風」を読んで初めて
知った。日本人が台湾を舞台にしたミステリーを書いているとはとても興味深い。
頃は日本統治下の台湾。
久我中佐はある事件の調査を命じられて台北に渡る。
そこで出版社を営む応家の男と作家志願の品木の事を聞き込む。
そして事件のあった台南、大耳降へ。
そこは、まるで昔の日本の田舎の田園、原風景に出会うかのような鄙びた土地であった。
そこにいた妖しい美女、応珊希、誰もがその魅力の虜になってしまいそうだ。
死んだ坂西警部補の妻である。
その前夫、仲村鰈満も不審な死を遂げている。
妖しの女? 魔性の女?
そして又事件が?
もしかしたら、品木が書いた小説は本当のことではなかろうか?
台南の街の旧家の老婆が語ったこととは?
台湾の田舎をめぐるドサ回りの演芸団とは?
彼らは一体なにものなのか?
こういう世界とても面白い。
昭和の台湾、台南の街が立ち上がってくる。
そして応家の闇とは?
漢詩に込められた謎をとかなくては?
そして最南端の町恆春へ。
ええなあ台湾へ又行きたい。
とても面白い。
こんな作家がいたとは知らなんだ。
他の作品も読んでみたい。

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ありがとうございました。