最近読んだ本、「ロスチャイルドのバイオリン」、「方丈の狐月」

  • 2020年1月25日
  • 3人

アントン・P・チェーホフ、イリーナ・ザトゥロフスカヤ絵、「ロスチャイルドのバイオリン」

チェーホフにこんな作品があるって知らんかった。というか、チェーホフの作品は
それほど沢山読んだわけではないんでそれも当然かもしれん。
静かで、穏やかで、優しくて、とても哀しい物語だ。
そして、絵が素晴らしい。何のことかわからんような、それでいてよくわかるような、
心温まる、そして哀しみが伝わってくるような、心打たれる絵ではないか。

ヤーコフ・イワーノフは村の棺桶屋だ。
本職意外にバイオリンの演奏をして生計をたてている。
ユダヤ人のオーケストラに雇われて婚礼のときにロシアの歌を演奏するのだ。
とても評判がいい。しかし、貧乏暮らしは変わらない。
毎日、毎日細かく銭勘定を細かくしながら妻のマルファには辛く当たる。
ある日、彼女が病気になった。とても思い。多分もうだめだろう。
この棺桶はだれのために?
彼の命も長くはない。自分でもわかる。
このバイオリンを誰に託そう?
彼の棺桶は?
寂しい夜に何を思う?
とても印象的な絵だ。

梓澤要、「方丈の狐月 鴨長明伝」

「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮かぶかつ消え
かつ結びて久しくとどまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し。・・・・・・・」
言わずとしれた「方丈記」、誰でも知ってる。冒頭の言葉は誰でも覚えている。
わしも最初のとこだけ覚えてる。
作者は鴨長明。ここまではわかる。
とは言え、鴨長明の人となりは彼の一生なんて全く知らんかった。
なんとなく、
世俗を超越した世捨て人。
浮世の権力から一線を画して暮らした人。
書を読み街に出ない人。
聖人君子に生まれついた人。
なんてイメージがある。

これはその人の物語。やっぱり初めから聖人君子、あるいは世捨て人、あるいは
仙人、そんな人いてへん。
最初は生臭い人。名前の通り、上賀茂、下鴨神社の神主の家柄だ。しかし、世渡りが
ヘタなんか、相手がうますぎるのか、うまいこと職位の階段を登られへん。
親のコネは実らなかった。
こうなったら和歌に練達してその伝手で這い上がるしかないのか?
後鳥羽上皇のお覚え目出度くなれたようだ。
それが役に立つのか?
琵琶もええなあ?
その道を極めることができそうか? しかし技量だけではあかんのだ。
秘曲を伝授される必要がある? それは叶うのか?
とても生臭い。
その間に平家が滅び、戦に天災、火事、災害、あまりにも酷い世の中ではないか?
無常を感じてとうとう出家か?
そして山奥へ隠遁か?
波乱の人生はどうなっていったのか?
誰でも知ってる不朽の名作が生まれる境地や如何に?

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ありがとうございました。