深野野分、「ベルリンは晴れているか」。
この作家の書いた「戦場のコックたち」がとてもよかった。
今回はどうやろ?
アウグステは終戦直後のベルリンの混乱の中を一人で生き抜いている。
アメリカ、連合国側の占領軍とソ連側の占領軍が交錯していろんな事件が起きている。
暴力や強姦、泥棒、いざこざ、生活環境はとても危険な綱渡りだ。
いつ何時、どんな酷い目に遭うかわからんし、現に遭ってきた。
希望のない日々、そんなある日、恩人のクリストフが死んだ。
らしい?
そしていきなり勾留された。
何故か?
アウグステをチクったのはクリストフの妻フレデリカだ。一体何故?
アウグステは無実を証明できるのか?
事件の解明になぜかソ連側が干渉してきた。
何故か?
クリストフは毒入り歯磨きで毒殺されたらしい。では犯人は誰か?
クリストフ夫婦の身寄りにエーリヒ・フォルストという若者がいるらしい。
彼を探せば何かがわかる?
警察で知り合った得体の知れない男と彼を探す旅にでる。
混乱のベルリンで果たして見つかるのか?
だんだんと不思議な事実が明るみに出てくる。
ナチスが壊滅したドイツに戻ってきたユダヤ人はどうなるのか?
敗戦後のドイツ人は戦時中の何を背負って生きているのか?
解放軍がしたことは何なのか?
アウグステたちはエーリヒを見つけられるのか?
真犯人は意外な人物だった?
動機は何?
とても面白い。
唯の謎解き活劇のようでいて、どこか深いものが感じられる。
是非、一読をオススメしたい。
ケン・リュウ、「生まれ変わり」。
この作家の「紙の動物園」、「もののあはれ」は素晴らしかった。
ケン・リュウは短編小説の名手だという。まさにその通りだと思った。
SFの世界なんで現実感に乏しいって思いがちやけど、人間の心の奥深い所に沁み渡って
行くような優しく慈愛に満ちた目線が感じられるし、哀しみの中に漂う詩情が、中国の
古典の世界だけではなくて日本の侘び寂びの心も理解しているような表現が多々あって
読んでいてもとても親近感が湧いてくる。
読み終わって珠玉の短編を読んだという充実感を得られるものであった。
今回はどうであろう。
わしの読み込みが甘いせいなんやろか、中々作品の中に入っていけない。
どれも少しずつの違和感があって、心の中がザラッとしてしまう。
何やらえらい変わったんとちゃうやろかと思ってしまったりする。
もう少し丁寧に読み込めばよかったんやろか?
次作に期待しよう。
ブログランキングに参加しています。もしよかったらポチンとお願い致します。
にほんブログ村
ありがとうございました。