ディルク・ラインハルト、「列車はこの闇をぬけて」
昨年の末頃かな? 中米からアメリカ合衆国へ向かう難民の大行進がメディアで盛んに
報道されてた。怒り狂ったトランプ大統領は断固阻止すると宣言していた。
そうとわかっていても彼らは行こうとしてる。
彼らにそうさせようとするものは一体何なんやろ?
メディアの目線はトランプ=悪者、難民=エエもん。そんな感じだ。
果たしてそれでええんやろか? 元の原因に眼を向けないで何かが解決するとも思えない。
そしてその後がどうなったか、全く報道がない。姿勢を疑ってしまう。
この本は爺さん向きではなくて児童書なのだそうだ。なるほど、そやからあまりにもエゲツない
場面は出て来いへんし、上手いこと行き過ぎやんかと思う場面もないではないけど、児童書と
なればとても良く出来てる。問題提起も素晴らしいし、困難に立ち向かう勇気、悪を認めない
勇気、友との助け合い、心熱くする様々な場面が生き生きと描かれていてとても好感がもてる。
グアテマラに暮らすミゲル。父さんはいない。母さんはアメリカへ働きに行ったきり連絡が途絶えた。
必ず帰ってくると約束したのに。妹との貧しい暮らしが続く。そうだ僕が会いに行こう。
そして旅が始まる。最初に出会ったのはフェルナンド。彼についていこう。なんとかしてくれそうだ。
どうやってアメリカまで? 貨物列車の屋根に乗るしか無い。
しかし、警官が追いかけてくる。ギャングも襲ってくる。命がけのとんでもない旅だ。
グアテマラーチアバスーオアハカーベラクルスーメキシコ
レチュリアーサン・ルイス・ポトシーポカスーヌエボ・ラレド
リオ・ブラボ
仲間ができた。エミリオ、アンジェロ、ヤスミーナ。子どもたちの友情は固い。しかし困難が
次々に。列車の屋根の上の暮らしは飢えも渇きも寒さも尋常ではない。
助けてくれる人もいるが、ギャングもいる。警官すらギャングの仲間だ。
彼らの運命は如何に?
アメリカにたどり着けるのか?
とても面白い。爺さんも勇気づけられた。
沢木耕太郎、「銀河を渡る」
わしは沢木耕太郎ファンと言えると思う。作品を眼にしたら殆ど読むことになってしまってる。
それはやっぱり「深夜特急」シリーズ、文庫本6冊を一気読みしてからやと思う。
あれは素晴らしかった。
旅することの高揚感、つぎに何が起きる。これからどうなる。
その後、人を描いたエッセイが好きになった。
檀一雄とその妻の事を書いた「壇」、藤圭子の事を書いた「流れ星ひとつ」、これは素晴らしい。
登山家、山野井夫妻のすさまじいチャレンジを書いた「凍」等など、枚挙に暇がない程だ。
そういう今までの作品やエッセイの中から、「歩く」、「見る」、「書く」、「暮らす」、「別れる」
とテーマ別に集めて並べたエッセイ集。
今まで読んだ本の事がいろいろと浮かび上がって、又読みたくなるものもあれば、知らんかった
やつで読んで見たくなるやつもある。
とても楽しい一冊であった。
鏡としての旅人 歩く
ペルノーの一滴
買い物ブギ
トランジット・ゾーン
カジノ・ディズ
過ぎた季節 見る
少年ジョー、青年ジョー
キャラバンは進む 書く
壇の響き
いのちの記憶 暮らす
勝負あり
まだ諦めない
深い海の底に 別れる
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ありがとうございました。