柚
月裕子、「検事の本懐」。
わしは相変わらずへそ曲がりやから、ベストセラーで映画にもなってと話題騒然の人の本を
読むのはあんまい好きではないんやけど、図書館に行って書架にならんでいるとつい手にとって
しまう。パラっと見ると、おもろそうやんか。それでつい借りてしまう。やっぱり人気が
あるだけの事があるんやわ、これはどうかな? なんて思ってるうちにいつの間にか引き込まれてる。
たしかに賛成だけではなくていろんな考えることもないではないけどそれ以上に軽快な話の運びと
展開の妙に惹き込まれてしまうのは悔しいけどしかたない。
この本は、短編集だった。短いけどそれぞれにとても面白い。
樹を見る
県警上層部に渦巻く男の嫉妬が連続放火事件に隠された真相を歪める
罪を押す
出所したばかりの累犯者が起こした窃盗事件の裏に隠された真実を抉る
恩を返す
同級生を襲った現役警官による卑劣な恐喝事件に真っ向から対峙する
拳を握る
東京地検特捜部を舞台に「検察の正義」と「己の正義」の狭間でもがく
本懐を知る
横領弁護士の汚名をきてまで恩義を守り抜いて死んだ男の心情を描く
又他の本も読んでしまいそう。
読んだ後の想い。
苦労話はとてもよくわかるし、身につまされてついホロホロと読んでしまう。
関裕二、「聖徳太子は誰に殺されたのか」
これは又、とても面白い。もしかしたら推理小説ではないやろかと思ってしまうし、
そう思ってもええんではないかと言える内容だ。
最近、日本の歴史の解釈が随分変わってきてるように思う。わしらが子どもの頃、
学生の頃、習って当たり前やと思ってた事柄がえらい違いになってきて、居たはずの
人がいなかったり、あったはずの出来事がなかったり、なかったことがあったり、
登場人物が違っていたり、いろいろ戸惑うことが多い。そうなると今までの知識は
どうなる? 唯でさええ加減やのにどんどん辻褄が合わんようになるではないか?
そんな時、こんな本を読むととても面白い。はたと膝を打ってしまう。
なるほどそうやったんか? 正しいかでっちあげか、学会が認めてるかどうか?
正統か異端か? そんなんはとりあえずどっちでもよくて、ちゃんと辻褄があった
話として読むと、なるほどそういう見方もあるか? 今までおかしいなあって思ってた
こともそうみると理屈が合うではないかなんでいうわかり方ができて、とてもいい。
それが間違いやったらまた直せばいいことで、それなりに楽しめるほうが何倍も
ええではないか。
これは、聖徳太子の話。
そして蘇我氏と藤原氏の話。
天皇家の話。
果たして、大化の改新って何やったんやろ? 乙巳の変とはどんな実際はどんな
背景で起こったのか? 壬申の乱とは、そして白村江の戦い、いろんなことが
つながりをもって見られる。聖徳太子って本当にいたのか? 蘇我入鹿ってほんまに
悪者やったんか? 仲良く眠る天武天皇と持統天皇の実態は?
天武が悪者で天智がええもんと違ごたん?
そして次々と驚きの事実が明らかになる。
ワクワクドキドキ、とても面白い。
読んだ後の想い。
推理小説を読むようにズバッと切り裂いてくれたのはとても痛快だ。
本当であってほしいけど、どっちでもええともおもう。いろんな考え方がアリで
ええんではないか。
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ありがとうございました。