最近読んだ本、「鏡の背面」、「不意撃ち」。

  • 2019年4月12日
  • 2人

篠田節子、「鏡の背面」

天使と悪魔?、ジギルとハイド?、仮面の女?、本当の顔はどちらなのか?
聖女が居た。
良家の子女、老舗の社長令嬢にしてさる皇族のお妃候補にもなったという女性が
私財もなげうちボランティアで不幸な女性たちのシェルターとして「新アグネス寮」を
運営していた。その献身的な活動は同僚や住人から聖女と呼ばれるほどであった。
しかしある日、突然の雷で寮が火災、入寮中の女性と赤ん坊を助けるために引き返し
炎に呑まれてしまった。
いかにも彼女らしい、しかし惜しんでも余りある彼女の死を悼む中に衝撃の事実が発覚した。
山崎知佳というライターが取材で彼女を追っている。
何かが可怪しい、気になることが多すぎる。
寮のスタッフ中富らと協力して調べ始めた。
聖母、先生、小野尚子とは何者なのか?
新たに半田明美と言う女が浮上した。一体何者なのか、半田明美と小野尚子の人生はどう重なるのか?
調べれば調べるほど謎が深まる。しかし、次々と新たな事実も判明していく。
知りたいことも知りたくないことも。
神に悪魔が棲み着いたのか?
2重人格の表と裏なのか?
それとも違う人物が? 入れ歯の謎は?
舞台は海外に飛ぶ。
フィリピンで一体何があったのか?
そして山崎知佳が見たものは?
とても面白い。次々と展開する意外な事実に惹き込まれて読むのをやめられない。
しかも、読みたくない。知りたくない。わかるのはおぞましい事ばかり。
それでも、次は何? 一体何があったの?
作家の力に引き寄せられる。
ええですなあ。

辻原登、「不意撃ち」

ちょっと小粋な?妖しげな?気になる? 短編集。
とても面白い。
渡鹿野(わたかの)
左巴はドライバーだ。妖しげな荷物を運ぶ。
デリヘル女性を目的地まで運び、終わったら連れて戻る。
何も見ない、何も聞かない。
しかし、気になる事がおきた。どうやら事件に巻き込まれたオンナが・・。
そして消えた。
伊勢の島に行こう。
そこに何がある? 何かが分かる?
仮面
東北大震災が起こった。そろそろ出番と違う?
阪神大震災の記憶が甦る。
ボランティアという名の火事場泥棒か?
群かすみ、甲斐啓介はどうなるのだ?
いかなる因果にて
ある男が逮捕された、中学時代のリンチ事件の記憶が甦る。
年金テロと思いきや、まさか薬殺された愛犬の恨みが?
柴原くんと大伴教師とは。
Delusion
元宇宙飛行士、猿渡由紀子は未来予知の幻覚に悩まされる。偶然か、何かの
原因があるのか?
そして精神科医、黒木純一のところで起きた事件とは?
月も隈なきは
花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは。雨に向かひて月を恋ひ、垂れ籠めて
春の行方知らぬも、なほあはれに情け深し。咲きぬべきほどの梢、散りしをれたる庭など
こそ見どころ多けれ。徒然草より。
突然奥本さんが居なくなった。その2ヶ月とは何なのか?
とても面白い。サスペンスのようなシュートショートのような。
落ちがあるような無いような。

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ありがとうございました。