最近読んだ本、「カラマーゾフの妹」、「終わりの感覚」

  • 2013年4月12日
  • 2人
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高野史緒、「カラマーゾフの妹」
とても面白い本だ。最初は「カラマーゾフの兄弟」をちゃかしたパロディ本な
んかなって思って読み始めた。しかしそうではない。未完的な終わり方をした
「カラマーゾフの兄弟」はドストエフスキーが続編を書くはずだったという解
説を読んだことがあるしそれはなるほどと思った。この本はその続編に挑戦し
たものだ。あんな巨匠に挑戦するなんてえらいことだ。
と言うても、巨匠の文学の香りとかロシアのロシアたることへの想いとかそん
な難しいものには挑戦してないようなのだ。
あくまでも話の続き、カラマーゾフの兄弟達のその後はどうなったのかを推理
していく物語だ。そやからつまらんと言うのではない。
そやからおもろいのだ。
イワンは秘密捜査官になった。そしてあの事件の再捜査を始める。
アリューシャはリザヴェータと結婚し、革命家の仲間に近づいていく。
ゾシマ長老の死の秘密もわかってきた。
まるで「カラマーゾフの兄弟」の話が続いているかのように展開していく。
スピード感もいい。意外性も一杯ある。
面白くて一気に読んでしまった。
そして妹というのは何なんやろ?
新たな展開が・・?

ジュリアン・バーンズ、「終わりの感覚」
実にすごい本だ。
企みに満ちている。
そろそろ人生を振り返る日々を送る年齢になった男の回顧録のように物語が始
まる。若い頃の思い出は楽しいいいものだ。
友人達がいて親友もいた。
初めての恋もあった。苦い結果に終わったがそれもいい思い出だ。
そういう回想の暮らしの中に何か引っかかるものがある。
何かが違ってる。未解決の何かがある。
そんな気がしてならない。
そんな時にたった一度あっただけの老婦人から500ポンドの遺産が送られてきた。
たかが500ポンド、されど500ポンド。これがどういう意味を持つのか。
読者の安直な予測は次々と外される。作者の企みの方がはるかに上を行くのだ。
其のたびに、なるほどそうなってんかとまた引き寄せられる。
そして過去のいろいろなことが明らかになるにつれてもっと意外な事実が・・。
なにげない一言が何を引き起こしていたのか。
淡々と語られる物語にいつのまにか目一杯惹き付けられていた。

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