最近読んだ本、「盤上の向日葵」、「リバース」

  • 2019年1月20日
  • 9人

柚月裕子、「盤上の向日葵」

とても面白い。この作家の本は人気すぎるんでへそ曲がりなわしは敬遠気味なんやけど
やっぱりつい手を出してしまう。図書館でも大盛況で順番が来るのにとても時間がかかる。
若き天才棋士 壬生芳樹昇龍が世間でもてはやされている。東大卒の超エリートビジネスマンが
ある日突然棋士に転向し、またたくまに天井まで上り詰めたのだ。
しかし、彼にはなにかわからん翳があるようなのだ。
埼玉県の山中で白骨死体が発見された。
不思議なことにその現場から一組の将棋の駒も発見された。調べてみるとその駒は
菊水月作、錦旗島黄楊根杢盛り上げ駒、伝説の名人の作品であることがわかった。
しかもそれは、最後の7組の逸品の一つであるという。
なんでそんなものが埋められていたのか? 深い意味があるのか?
手がかりはそれだけ、被害者も容疑者も一向にわからない。
天木山山中男性死体遺棄事件捜査本部が立ち上がった。
刑事たちは地道に7組の駒の行方を追い始める。
もう一つの物語がある。時を遡る。
暗い影を背負った少年桂介が居る。父は嫁に何故か厳しい。同時の子供にも厳しい。
並大抵ではない。そして嫁が謎の死を遂げる。そこから少年の悲劇が始まる。
父は味噌職人の仕事を投げ出して息子に依存する暮らしだ。なぜなのか?
少年はDVの日々から抜け出せるのか? 母に何があったのか?
そして、いつしか少年は将棋に興味を示す。
彼を指導する元教師は彼に何を授けたのか? 温かい食事と愛情と将棋の道と?
他には?
刑事たちの地を這うような地道な操作がすこしずつ実を結びはじめてきた。
事件がすこしずつほぐれて、すこしずつ繋がりが見えてきた。
一方、時間が遡るなかで、将棋に目覚めた少年は青年となる。そして、元アマ名人で
今はやさぐれた勝負将棋の真剣師、東明重慶と出会う。
賭け将棋の世界の狂った真剣勝負。
とても面白い。
読んでるうちに松本清張の「砂の器」が思い浮かんだ。なんやパターンがよう似てるなあ、
おんなじような終わり方やったらおもろないなあって思った。
さて、どうなるか?
意外な展開があるのか?
咲き誇るひまわりの黄色い力は母への慟哭の想いか? もがき悶える情念のたぎりなのか?
とても面白い。

相場英雄、「リバース」

これはどうも連作モノらしい。
三知、本部捜査二課第三知能犯係の真藤警部の元で活躍していたチームはある事件の
大失敗を期にバラバラになってしまった。
いつかまた昔の仲間でと各自の心の奥に期するものがある。
目白署刑事課に飛ばされた西澤辰巳がある日、万引き老女を取り調べた。しかしどうも
おかしい。万引きするような人ではなさそうだ。お金に困ってるわけでもなさそうやし
人品もいやしからぬ様子がある。
調べてるうちにわかってきた。どうも何千万というお金を詐欺で騙し取られてみたいだ。
それも、大震災の復興支援で東北の山林を国有地化するというプロジェクトという名目で
優しい心根の人たちを欺いていたのだった。摘発はできたものの大きな裏がありそうだ。
麻布署刑事課に飛ばされた清野卓は福島の原発絡みの汚職事件を追っていた。補償担当の
チームの係長が元暴力団員に殺されたらしい。
これはおかしい。単なる怨恨に見せかけた計画殺人ではないのか?
しらべていくうちに次々と意外な事実が浮かんできた。
原発がらみの巨大な汚職と闇取引と国家を跨いだ悪巧みがあるのではないか?
もっと調べろ?
さまざまな事が繋がってくる。
もっと調べろ?
敵の力も強大だ。どこまで迫れる。
真相は何か? 証拠はつかめるのか?
元の三知も面々に号令がかかる。
進藤の命は大丈夫か?
とても面白い。
それにしても震災を食い物にして私利私欲を追うやからがはびこるのは絶対許せんなあって
改めて思った。

ブログランキングに参加しています。もしよかったらポチンとお願い致します。
にほんブログ村 旅行ブログ アジア旅行へ
にほんブログ村

ありがとうございました。