青山文平、「鬼はもとより」
前に、「武士の家計簿」と言う本を読んだ時に衝撃を受けた。武士の話って言うた
ら、チャンバラ、斬り合いの話やら戦争の話やら、忠儀の話やらとストイックで精
神的な話が多いんやけど、この本は全く視点を変えて、武士の生活も大変やったん
やと言う日常生活を古文書に残る家計簿を元に浮き彫りにしたもので、成る程そう
やったんかと目から鱗が落ちる思いであった。
この本は又違う視点で時代を捉えている。
つまり藩札を巡る経済小説なのだ。
基本は貨幣制度で、収入は米による納税で成り立っていた江戸時代、どの藩も経済
が苦しくなってきていた。新たな産業を興す知恵やネタのない藩はどんどんと疲弊
していく。そんなときに起死回生のアイデアを考え出した人がいた。
紙幣を刷ればええのだ。刷れば刷るほど金ができる。
成る程。魔法のような話だ。
しかし、運用は難しい。紙幣に藩からの保証と世間の信用がなくなったら、すぐに
破綻する。
奥脇抄一郎はその基本を教わり、運用に携わった。
しかし、この藩にも破綻の時がきた。大飢饉がやってきたのだ。
藩札を刷らなければ沢山の人が死ぬ。
刷ったら藩の経済が破綻する。
責任者の彼はどうするべきか? どうしたのか?
その後、彼は江戸にいた。
藩札を刷っても破綻しない方法を考えに考えた。
そして、一つの結論を得た。
それは、どんなものなのか?
貧困に喘ぐある東北の藩で実践してみよう。
果たしてどうなるのか?
新鮮な話題、スピード感のある展開でとても面白かった。
アントニオ・タブッキ、「イザベルに ある曼荼羅」
難しい。ようわからんけど、面白い。
ややこしい本であった。
タデウシュはイザベルを探している。
彼女はリスボンの街から姿を消したのか?
それは何故なのか? 思想犯として追われていたからなのか?
有ったことのある人を追う。
街の描写が面白い。
ミュージシャンは? 写真家は?
証言は霞の中のようで実像を結ばない。
近寄っているようで、近づいていない。これが曼荼羅なのか?
彼女は死んだと言う。
収容所を訪ねる。
死んだはずが無いという人がいる。
舞台はリスボンからマカオに行くのか?
収容所の彼女と会ったことがあるのか?
彼女を育てた女が現れた。
居そうで居ない。探しているのかぐるぐる回っているのか?
これが曼荼羅なのか?
ようわからんけど面白い。
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