イーユン・リー、「独りでいるより優しくて」
北京の裏町には胡同と呼ばれる昔ながらの雑居住宅が犇めくような地域があったんやけど
歴史的に保存するという地域でなければ次々と再開発されて新しくなっていってるみたい。
しかし、それは北京オリンピックの頃に急に始まったような感じなんで、この本の舞台に
なってる天安門事件の頃はまだまだ昔のままだ。所謂四合院という一軒の住宅で真ん中の
庭を囲んで四方に建物があるような建築のそれぞれの建物に違う家族が住んでいたり、
あるいは同じ建物でも部屋毎に違う家族が住んでいたりと、貧しいなりの共同生活をする
ような、そしてそんな共同生活の中で生まれる連帯感や助け合い、あるいはもたれあいの
独特の地域社会を作っていたような暮らしが色濃く残っていた時代の話のようだ。
そんな日々の暮らしが生き生きと立ち上がってくる。朝誰が何を食ったか?
誰が誰と喧嘩したか? 数時間したら街中の人が知ってるという世界だ。
泊陽(ボーヤン)、小艾(シャオアイ)、黙然(モーラン)たちは、子どもの頃から
ここで育って一緒に学校に行って無邪気に暮らしている。
そこに現れたのが如玉(ルーユイ)だ。捨て子のルーユイ、孤高のルーユイ、
エキセントリックなルーユイ。そして波乱が始まる。天安門事件に関わって
公安に睨まれているやっかいもののシャアイが突然薬品中毒で植物人間に、
自殺行為なのか? 殺人未遂なのか? 事故なのか?
謎を含んだまま月日が流れる。
それぞれの暮らし? 金持ち暮らし? アメリカ暮らし?
果たしてシャオアイの事件の謎は解明できるのか? 一体何が起きていたのか?
そしてシャオアイが死ぬ日?
とても面白い。
中国では文革時代の話はよくでてくるけど、なかったことになってるらしい天安門事件の
話はあんまり出てこない。
これからさき、こういうのが沢山でてきたらいいと思う。
ジェフリー・ディーヴァー、「限界点」
コルティは連邦機関の警護官だ。重要な証人の命を秘密をばらされたくない人や
組織が雇った殺し屋から守るのが仕事だ。
一番の難敵がヘンリーラヴィング。調べ屋で拷問と暗殺のプロだ。コルティとは
宿命の対決相手だ。いつも騙し騙され、出し抜き、出し抜かれ、際どい勝負を
繰り返してる。
この度はある事件の秘密を知るとされる刑事をが保護の対象だ。刑事とその家族を
殺し屋から守るのだ。
しかし、刑事夫婦と娘を同じ場所に隔離できない。
そこにスキがあるのか?
狙われてるのは本当に刑事なのか? 別の重要人物の居場所を拷問で白状させる
ために狙われているのか?
巧妙な手段でラヴィングがひたひたと迫ってくる。
追うものと追われるものどちらが優位にいるのか?
もしかしたら本当のターゲットは妻だったか?
それでも、何かがおかしい?
次々の事実が明らかになっていく。そして事態は急展開へ。
とても面白い。
チャラくて、わかりやすい。
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ありがとうございました。