最近呼んだ本、「犯罪小説集」、「イエロー・バード」

  • 2018年9月10日

吉田修一、「犯罪小説集」
この人の語りはいつも読みやすくて、心惹かれて、何かが残る。そやから、新しい本が
でたらいつも読んでしまう。最近は犯罪モノが多いみたいだ。
そして、どっかで聞いた、もしかしたらニュースでやってたあの事件が素材になってるんと
ちゃうやろかと思うような話が多い。
普通はマスコミ報道を鵜呑みにして、悪やつがおるもんや。何でこんなアホなことしたんや。
エエもんとワルモンの世界が単純に右から左に流れて記憶の中に消えていってしまう。
わるいけど所詮他人事の世界ではある。しかし、ひとたびこうして物語の世界に登場
してしまうと、誰もが人の営みのなかでどうしようもない閉塞感や不条理、心の闇を
抱えて蠢いていて、誰が悪いというよりは、もしかしたら誰でも越えてはならない一線を
越えてしまうことがありうるし、そんな一線なんか誰にもわからんということにもなり
かねない世界が現れてくるようだ。
青田Y字路
ある田舎町、ある日、祭りのあと子どもがいなくなった。
そして遺体で発見された。
殺されたのか、事故なのか?
怪しいやつはたくさんいてる。
しかしわからない。
一体何故? 一体誰? 何がそうさせた?
驚くべき事実があるのか?
地域の中で何が起こった?
曼珠姫午睡
男が殺された。
その裏に何がある?
高校時代の同級生。華やかな女とさえない女。
華やかな女のその後の人生。
さえない女のその後の人生。
もしかしたら女が絡んだ殺人か?
パトロンを愛人に殺させたのか?
女の業か心の闇か?
百家楽餓鬼
いつの時代にも、どんなとこにでも金持ちのアホボンというのが居てる。
飲む、打つ、買う、したい放題の顰蹙暮らしでも他人に迷惑をかけへんかったらええ。
そやけどそうはいかんのが世の常で、やがて身を滅ぼすのはよくある話だ。
その上、家庭を滅ぼす、会社を滅ぼす。
難儀なもんだ。
そんな判り易いアホボンはまだしも、ほんまはわかりにくいアホボン、アホジョウも
いてるらしい。
真面目にやってるようで、いつか会社を潰してるって、
これもよくある話。
難儀なもんだ。
万屋善次郎
確か村八分を恨んで、住民を無差別殺人したなんて事件をニュースで見たことがある。
よく調べてみたらこんな話やったんやろか?
それとも、それをヒントに考えたら、こんなことだって考えられるという話なんやろか?
人の恨みと確執とは?
日常の暮らしに狂気が潜むのか?
それははじめからあったものなのか?
恐ろしい。
白球白蛇伝
スポーツの世界で一度は脚光を浴びたものの挫折。
常にエエカッコせんとおられへん男。
挙句の果てに起こった事は?

ケヴィン・パワーズ、「イエロー・バード」
イラク戦争っていったい何やったんやろ? わしらは報道で見ることしかわからへん。
テレビのニュースでロケット砲なんかがビカビカ、ヒュンヒュンと飛び交う映像を見て、
ゲームの世界のような映像もみて、なんやわからんうちに一瞬で終わってしまったような
感じですらある。
正義のアメリカがフセインという悪モンをやっつけた?
ほんまにそうやったんやろか?
本当の戦場にいた兵士が書いた物語だ。
イラク、ニネヴェ県 アルータファル、21歳3年兵バートルが戦場にやってきた。
そして、18歳初年兵マーフィも配属されてきた。
2人の戦争が始まる。死ぬことの恐怖、殺すことの恐怖。
狂気の世界に耐えられるのか?
うちの息子を頼みますっていわれて、まかせてとこたえたバートル。
でもマーフィはある日・・。
彼にその責任はあるのか?
名誉の帰還?
英雄の帰還?
死ななかった男も壊れてしまったのか?
戦争は本当にあかんのだ。

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