最近夢中で読んだ本、高鶚

  • 2009年1月6日
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高鶚、「紅楼夢(下)」
長い、実に長い本だったが、とうとう読み終えた。
下巻は、曹雪芹が書いた部分ではなくて、曹雪芹が書いた後、失なわれてしまった
部分を高鶚という人が補作したと言われている部分だ。
やっと読み終えてほっとしたというのが正直なところだ。
この部分は作者が違うのは、翻訳を読んでいてもあきらかだ。
話の運び方も、前とは違うし、文章の品格も少し下がっているように思う。
それで、この巻では、登場人物が次々と退場していく。
あの林黛玉も死んでしまい、宝玉の周りから女性がみんな消えてしまった。
なんと後室までもこの世を去り、賈の家も悪いことばかり起こる。
一時は家も衰退に向かってしまった。
そして、玉を無くした宝玉はどうなるのか。
結局は科挙の試験を受けるが、見事合格した後、姿を消す。
結局は、すべては夢幻の事であったのか。
仙界に書かれた文書の通りに全てが運び、すべてが消えていったのか。

この本を読んで、中国への関心がまた一層深まったし、これからの旅も
また豊かなものになると思う。
名所旧跡、古鎮古城をめぐっても、そこにあった暮らしが、この話をもとに
目に浮かぶだろうし、その時代の文化が想像できるからだ。
中国の人の、仏教や儒教や道教が混在した、よくわからない宗教感も
この本に描かれた暮らしぶりからある程度理解もできるような気もする。
それに、上、中巻は、文章としても格調高いものであった。
中国で名作とされ、中国人からは一度は読むべきだと薦められるのがよく理解できた次第だ。
次は南京に旅をしたくなったなあ。
「紅楼夢」は「石頭記」とも言われていて、石頭とは南京の別名だったのだそうだ。
本の中でも南の地がよく話題になっていた。
そうなると行かなくてはなるまい。

hon090106

毎週火曜は最近夢中で読んだ本の話です。