最近読んだ本、「修羅の宴」、「彼方の友へ」

  • 2018年8月27日
  • 25人

楡周平、「修羅の宴」
何故今頃? 実際に出版されたんはもうちょっと前なんやろけど、そんなに昔ではない。
わしらが現役バリバリの頃、あるいはそのちょっと前くらいか、いわゆるバブル真っ最中の
頃の話だ。かの有名なイトマン事件を素材にした物語なんで、時代の空気が目の前に
蘇って来たようでとても懐かしい。あれほど何でもありだった時代も又とないと思える
くらいだ。気の利いた人は幾らでもお金儲けができたようだ。あっという間に巨額のお金が
懐に入る。そんなエエ時代があったのにわしは何も銭もうけが出来へんかった。
そしてある日泡が弾けた。えらいことになった人が一杯出てきた。
会社をなくした社長。
家を手放した人たち。
株で大損して自殺した人。
なけなしのへそくりをなくした主婦たち。
わけのわからん不動産だけが残った人。
昨日までのお宝が一夜で消えた。
そんな時代があったあとは、その危うさはいまでも続いてるんとちゃうやろか?
瀧本哲夫はいずみ銀行から浪速物産に出向してやっと念願の一国一城の主、社長になった。
ここはわしの城だ。何があっても手放さないぞ。
しかし、世の中、そう甘くない。
彼の失敗を待ってるやつが一杯いてる。業績は常に右肩上がり、事業は絶好調、それが
必須だ。
其のためにはあちこちに手を広げ、いろんなとこで業績アップを狙う必要がある。
仕掛けは万全のはず?
しかし、バブルが弾けかけた。
急速に世の中の経済がおかしくなっていく。
彼も業績と穴埋めとボロ隠しのもぐらたたきが始まる。
果たして、社長の座を守りきれるのか?
愛人は繋ぎ止められるのか?
今となっては人を騙す手口も、お金をごまかす手口も古臭いんでハラハラワクワク感は
あんまりないけど昔懐かしいビジネスの世界がわしらの時代を思い起こさせて
とても楽しい。

伊吹有喜、「彼方の友へ」
佐倉ハツ=波津子=ハツ公、日本が戦争に向かってひた走る頃、何のとりえもない
一人のお手伝い娘が、何かのぐあいで「乙女の友」という雑誌の編集部で仕事を
することになった。
最初は只の使い走り、そしていつの間にか編集者に。
戦火が激しくなり、夢も希望も途絶えた悲惨の時代に少女たちに夢を与える事が
できるのか?
「フローラ・ゲーム」、「ヒヤシンス」、「泣いてはいけませぬ」。
謎の男?女?ジェイド小島翡翠とは一体何者なのか?
辰也おじさんとは何者なのか? 軍に関係が? 怖い人?
有賀主筆はいつまで彼女をかばえるか?
霧島美蘭は彼女を駆逐するのか?
フルーツポンチ大同盟とは?、
「友へ最上のものを」、戦乱の中、戦後の荒廃の中、力づけられるものは何か?
チャラいようで結構読ませる。
時々迷路に入るようでもあるけど出口もある。
何十年かの時が流れた、老人ホームに届けられたものとは?
誰が?

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