黄泥螺とバイヂュウ

上海に行った時に気に入って食べるモノの一つに「黄泥螺」というヤツがある。
要するに貝の一種だ。日本の田螺のような形でそれをちょっと大きく太らせた
ようなヤツだ。殻が柔らかくて、指でおすとプチっと殻が割れて中身が出て
来る。そういう貝を酒に漬けたもので酒の甘みと、貝の身のシコっとしながら
にゅるっとする食感が実に旨いのだ。
先日、上海から揚州、蘇州に旅行した時に、これを買って帰ろうと探していた。
「そんなのどこでも売ってるよ」ということで、蘇州の街をうろうろしている
ときに食良品店を回ってみたが、結局は売っていない。
元々は寧波のほうの特産品だそうだから、蘇州は方向違いなのだろう。
しかたない、上海で探そう。
一只鼎とう銘柄がいいそうだ。
それで上海の繁華街の食料品店に行ってみた。一軒目はなかった。
2軒目もだめだった。上海もだめかなと思いつつ、もう一軒だけ行って見ると
「あった」

 

「一只鼎のですか」
「そうです」
「大きいの?」、「小さいの?」
「どう違うの?」
「大きいのは粒も大きい」
それなら大きい方がいいに決まっているが、あいにくスーツケースは満杯だ。
しかたない、「小さいの」
日本に帰って、さっそく知人と食べた。
やっぱりこれはバイヂュウと合う。中国の食べ物は中国の酒が似合うのだ。
おいしいけど癖があるからキツイ酒の方がいい。
それでやっぱりいつもの二鍋頭が登場だ。これも今回の上海で買ったやつだ。
よくみると瓶の口金にテープを巻いている。これはスーツケースの中で
漏れないように自分で巻いたのだ。口金の封を切ってなくても若干もれるのだ。
まあ、安いからしょうがない。これで一本90円くらいやもんね。
この貝を食べるのはちょっとコツが要る。
右手でつぶしながら貝の口を自分の口のところに持って行くと、中身が
チュッとでてくるのでそれを食べればいいのだが、一番お尻の先のところは
残した方がいいと聞いたことがある。貝のお尻の一番先は悪い物がたまる
ところだからそれは避けた方がいいというわけだ。
そうなるとお尻の先を指に残しつつ、頭の方を口に押し出さないといけないから
指先にちょっとしたこつがいるのだ。
どうってことないけどね。
しかし、やっぱり大きい方がよかったなあ。
酒に合うは! バイヂュウに!

毎週金曜は酒や茶に関する話です。