茅台(マオタイ)ビール

貴州の旅から帰ってもう随分時間がたった。
今回はいろいろと目論見どおりに行かない事がおおかったし、これといったハプニングも
なくて、ちょっと寂しくはあるが、平凡無事な旅行であった。
旅も平凡であったが、酒も平凡であったかもしれない。
昔、始めて北京に行った時に、宴会に招待された。それも主賓であった。
最初は機嫌よく、「乾杯!」、「乾杯!」とやっていた。しかしだんだん気がついてきた。
「これはやばい」
「いつ終わるんや」
いくらでも、「乾杯、乾杯」がやってくる。敵は多数でこちらは二人だった。
目があうと乾杯。よそ見してても名前を呼ばれて、乾杯。知らん顔をしてても、肩を叩か
れて乾杯。
「つぶれるまでやめられへん」
殆ど記憶をなくしてぼろぼろになってしまった。
確かその時に、記憶の隅にのこっているのが、乾杯の嵐の中で何本か空いてしまった
バイヂュウの内の一本が、「これはええ酒でっせ」と言いながら開けられた、白い小型の
円筒状の陶器の瓶の中に赤い字で「茅台酒」と書かれたやつだ。
確かに旨かった。しかし、あんな状態で飲んだら味わうもくそもない。
あっというまに通過してしまった。
それからは殆ど飲んだ事がない。
何故かというと高いのだ。一本1万円以上はする。なかなか買う気はしないし、我々が
参加する宴会では殆ど出てこない。
それが貴州のさけ「茅台酒」というやつだ。
今回貴州にいくのでもしかしたら安い「茅台酒」があるかなと思ったが、やはりそれは
甘かった。
それでほかのバイヂュウを飲むことになったのだ。
ならばビールはどうかというと、驚いた事にビールも「茅台ビール」であった。
酒があんなに旨いが高価でもあるなら、ビールはどうだろうと聞くと、ビールは普通の
値段だと言う。
「味はどうだ?」と聞くと、「まあ飲んで見ろ」と言う。
そういう言い方は味が美味しい時に言うものだが、この場合は、味も全く普通だった。
かなり薄い。中国は薄いビールが多いが、これも例にもれず同じようなものだ。
しかし、どのレストランに行っても、ビールというと例外なく、「茅台ビール」が
出て来る。他の銘柄は置いてないようなのだ。
それほど、「茅台」という名前に愛着が強いのだろうか?
ただ、この会社がシェアを押さえているだけなのだろうか?
多分後者だろう。

beer100611-1 beer100611-2

毎週金曜は酒や茶に関する話です。