ある日、古本屋を覗いていたら、石濤という名前が目についた。
石濤と八大山人という人の画集だ。値段を見ると400円均一と書いてある。
大判の画集で素晴らしい画ばかりだ。何という安さだと思い手に取った。
それで、まだいろいろ見ていると、良い本が沢山ある。
りっぱな画集や稀覯本ばかりだ。幾つか手にとってやっぱりどこかおかしい
と考えた。こんなに安いはずはない。それで価格を展示しているプレートを
もう一度良く見ると4000円だ。「やっぱりなあ」と思い、一応全部戻したが
この「石濤・八大山人」という画集はやっぱり良い。離し難い。
「今は、石濤の本だったら古本でしか手に入らないし、この値段なら良く考えたら
安いではないか」と思いなおし、買う事にした。
石濤も八大山人も共に明朝が清に滅ぼされる時の明朝の王族に繋がる出自だ。
そして明の再興を願う儚い夢を持ちながら世を捨てて画に生きていた人たちだ。
しかし、単に孤高とか達観とかの世界に生きていたのではなくて、強い自我の
世界があったように思う。
独自の画の世界を創って、その道を貫いていたそうだ。
「常に優しい景色と、優しい人がいる」ように私には思える。
こういう画を描けるようになって、こういう画境に入りたいものだ。
山はやっぱり「黄山」の画が多い。
こうなったら、又、「黄山」に行かないといけないなあ。
こういう画の世界を頭に入れて行かないと、景色も通りすぎるだけだ。
しかし、とりあえずは真似ることから始めよう。
毎週月曜はこだわりのモノの話です。