最近読んだ本、「R帝国」、「パリに終わりはこない」

  • 2018年3月18日

中村文則、「R帝国」
オーウェルの「1984年」は出た時はすごかったんやろけど読んだ時は同意できへん
ようなとこも多かったような気がする。逆に「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」は
とても面白かった。ケン・リュウの「紙の動物園」や「母の記憶に」の独特の世界観も
惹かれるものがある。SFの世界もとてもおもしろくて楽しい。
これはどうなんやろ? 戦争モンってあんまり好きやないけどとか思いつつ読んで
見たら、結構惹き込まれてしまった。
はるか昔、「ニュートン」と言う携帯端末があって最初に見た時はびっくりした
メールからネットから、画像から、今のスマホで出来るようなことは殆どそのコンセプト
に含まれていた。ただ惜しむらくは、時代が早すぎて、ハードのスピードと技術力が
ついていってなかったし、通信の世界も貧弱すぎた。
それから何十年もたってやっとスマホを創ったことが世界を変えたかのようになっていて
昔はこんなこと考えられへんかったみたいな時代がきてしまってる。
それがこれから先もっと進化して、この本にあるようHP端末が現れて、まるで手元に
いつもよきアドバイザーがいるような、あるいは親友が、両親が、上司が、先生が、
なんでも居てほしい相手がいて相談に乗ってくれる、教えてくれる、指示してくれる、
そんな世界が来るかもしれんし、はては恋人にまでなって仮想のセックスの相手をして
くれるようにすらなるかもしれん。
そんな時代がいつかは来る? どころやあらへんと思う。
ある意味もう来てる部分もあるし、すぐにもそうなっていくと思うし、もっと別の進化をすると
思う。多分この程度の想像力より現実の進化の方が驚くべきもんになっていくやろう。
そうやって、身も心も支配されて、誰が誰を支配してるか、何が何をどうコントロールしてるか
わけわからん、根本に悪いやつが居るならわかりやすいけど、何がどうなってるかわからんうちに
気がついたらいつくかの人工知能がこの世の帝王になってたりするかもしれん。
いまでもたいがいスマホやテレビに脳内を明け渡してる人がとても多いんでどんなことになっても
おかしくない。
てなことで、あんまり難しく考えないでおもしろおかしく読むと、結構楽しめると
思う。

エンリーケ・ビラ=マタス、「パリに終わりはこない」
ヘミングウェイの「移動祝祭日」に痛く感銘をうけ、影響を受けている私はとうとう
「ヘミングウェイそっくりさんコンテスト」に出場したが残念な結果に終わった。
作家修行時代の私はパリに暮らした。あのマグリット・デュラスの家の屋根裏に
居候していたのだ。デュラスに文筆指導を受けることはないけど、様々な作家と直接、
間接に関わる暮らしだ(本当かウソかはべつにして)。
パリの裏町の暮らしの描写が生き生きとしてとても素敵だ。
出てくる作家がとてつもない。ボルヘスやマルケス、ロートレアモン、プーシキンの
「失われた世界」も出てきたような。
全てはアイロニーの中にある。
追憶と回想のようでいて、ただの皮肉な空想の話のようでもある。
言葉が紡ぎ出すものは意味があるようで意味がないようである。
結局は飛行機の中で見失った講演のメモにすぎないのか?
シュールなようでもひとつようわからん。
いろいろ面白い、興味深いところが沢山あって、惹かれるところが多いけど、
全体としてようわからん。
わしの感性ごときではついていかれへん。

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