九度山暮らしのある日、あんまり寒いんで火鉢を復活させてみた。

毎日、毎日、恐ろしく寒い日が続いていた頃の話だ。このブログがアップされる頃は
ちっとはましになってるんやろか?
我が家には薪ストーブがあるんやけどぬくぬくホカホカというほどではない。
ほんのりふんわりあったかいというんがミソなんでこれほどギンギンに冷えたら
想定外というか、あるていど我慢しつつ暮さんならん。
やっぱり薪を焚きまくらんとあかんのかと思いつつ、ふと気がついた。
納屋の隅に昔の火鉢があったやんか。
もう灰を抜いて転がしてあったんやけど、薪ストーブで毎日できる木灰を入れたら
すぐに使えるではないか。
といっても灰はそう簡単には貯まらへん。何日分かコツコツためてやっところあいかな?
炭を入れてみよう。

なかなかええ感じだ。火鉢がほんのりとあったまってくる。炭に火をつけるのは
薪ストーブで真っ赤になってる木のからけしが良い。それを先に火鉢にいれて炭を
載せるとじわっと火が移って赤くなっていく。火鉢全体がじわじわと熱くなっていって
じわじわとまわりも熱くなっていく。
そういえば昔はこんなんで暖をとってた。というかこんなんしかなかった。
かじかんだ手をかざしてほっとするという喜びがあった。
電気や灯油の暖房もええけどこんなんもええんではなかろうか。
ほんで、火鉢に五徳を入れたら、鉄瓶をかけてチンチンと湯が湧くのをたのしむ
ことができるし、スルメを炙って酒のあてをこしらえてもええ。

まあ、石油ストーブでも電気ストーブでもおんなじことはできるし、ノスタルジーに
ふけることもないんやけで、ほってあったもんが生き返るのもええもんだ。
火鉢生活もしばらくは面白そうだ。
どっちが家計のためになるかはようわからん。
それにしても何十年振りかの寒波とか言われてるけど体感的には、わしらの子供の頃や
若い頃の方が寒かったんとちゃうやろか? しょっちゅう雪が積もってたような気がするし
水道管が凍ったり池が凍ったりとかはいつものことやった。
外を歩いてても風がビュービューでメチャ寒かった。
でもどうなんやろねえ。今はヒートテックがあるし、ダウン製品もいくらでもあるし、
それで昔ほど寒いって感じへんだけなんかもしれん。
しかし、いつとくらべようが寒いもんは寒い。
早く春がきてほしい。
もっと心と身体を鍛えて、昔の人のように寒くても優雅に暮らしていたいものだ。

「冬はつとめて。雪の降りたるはいふべきにもあらず、霜のいとしろきも、
またさらでもいと寒きに、火など急ぎおこして、炭もてわたるもいとつきづきし。
晝になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火もしろき灰がちになりてわろし。」
(枕草子)

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ありがとうございました。