ジョン・アーヴィング、「神秘大通り 上、下」
この人の作品はいつ読んでもとても面白い。新作が出るのを楽しみにでたらすぐ
読むようにしてる。決して期待を裏切らないのがすごいところだ。
フワン・ディエゴ はフィリピンに向かっている。彼はスラム出身の作家だ。
メキシコシティ、オアハカの街の裏通りのスラム街で生まれ育った。母は掃除婦兼
娼婦、父はわからない。妹のルペは未来が見えるらしい。
どういう未来か、自分の命がどうなるか?
兄が作家として成功するのか?
そのためにはライオンの檻に入るのはだれか?調教師イグナシオをどうした。
スラム街はダンプと呼ばれる兄弟はダンプキッドだ。どこから迷い込んできたのか
ぺぺ修道士、トランスヴェスタイトのフロール、エドワード・ボンショー。
聖処女マリアの鼻はどうなる?
フワン・ディエゴは飛行機の中だ。ダンプキッドの暮らしは夢の中なのか?
では彼の片足はどこで不具になったのか?
現実と夢の中を行ったり来たりするのはベータ遮断薬のせいなのか?
母ミリアムと娘ドロシーと何故しりあったのか? バイアグラを使ってやりまくったのは
夢か現か? 母と娘は実在の人物なのか?
果たしてスラムで死んだ元軍人青年の故郷を訪れることができるのか?
めくるめくような話の流れにぐんぐんと惹きつけられて息つく暇もないほどだ。
気いつけんと読んでるわしまで夢の世界に入ってしまいそうだ。
時間も空間も想念もぶっとびまくって気がついたら終わってた。
おそるべし。
辻原登、「籠の鸚鵡」
梶は和歌山県下津町の役場の出納室町だ。おやいきなり知ってる町やんか、わしの
故郷海南の隣だ。真面目な梶は酒も女も遊びもしない、それがふとした事で和歌山市の
飲屋街、アロチで一軒のスナックへ。これまた中学、高校時代を過ごした和歌山が
でてくる。丸正デパートがあってその向かいにブラクリ町の商店街があって、そこを
突き抜けた先に小さな一杯飲み屋やバーやスナック、妖しい店や妖しくないみせが
ひしめく飲み屋があってそこをアロチと言う。こんなん本を読み直さんでも書ける
くらいようしってる。行ってたわけではないけどね。
ある日梶のもとへ手紙が届く、カヨというスナックの女からの誘いの手紙だ。仰天するほど生々しい
エロチックというよりはセックス行為そのものの淫らな誘い文句がならんでいる。
あっという間にその気になって、あっというまにあるあるパターンで公金使い込み、
女に貢いでどうにもならんようになるんではないか?
こんな女に男がいないはずはない。やっぱり不動産屋くずれの元夫、今の男はヤクザだ。
そしてヤクザにも試練が。
抗争相手の親分を殺せるのか? そのあと逃げおおせるのか? どうやって?
梶はどうなる? 梶の貢いだ金は?
熊野古道を彷徨うのはだれだ?
最後は補陀落浄土へ向かう道しかないんとちゃうのか?
知ってるとこばっかりが舞台やと異様に興味が引きずられる。
とても面白い。
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ありがとうございました。