最近読んだ本、「つつましい英雄」、「六代 豊竹呂大夫 五感のかなたへ」

  • 2017年7月1日
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マリオ・バルガス=リョサ、「つつましい英雄」
読んでて途中で気がついた、この作家、前に読んだ「アンデスのリトゥマ」と同じ
作家とちゃうやろか? ペルーの地方の町の描きかたとか人物の描きかたがとても
似てる感じがして、どっかで読んだ感じやなあって思てるうちに思い出した。
調べてみたらやっぱりそうやった。
ペルーの地方都市ピウラにフェリシト・ヤナケという小さな運送会社を経営する男がいる。
若い時からこの道一筋で叩き上げた真面目一本の男だ。誰からの脅しにも屈してはならない
という父の教えを固く守っている。
そしてある日、ヤナケのもとに一通の手紙がきた。蜘蛛の印がはいった脅迫状だ。
災いを避けたければ金を出せというのだ。
どんな災いなのか?
困った時にたよりになるのは予言者アデライダだ。彼女の予言は外れたことがない。
しかし、今回は何もわからないという。彼と愛人マベルとの関係は微妙におかしくないか?
軍隊に送った息子ミゲルは本当に改心したのか?
首都リマに住む、リゴベルトはそろそろ仕事を引退しようとしてる。上司の
イスマエルはもうちょっとだけ待ってくれと言う。実は、妻と死別している彼は
メイドのアルミダと結婚しようとしているのだ。
この歳になって今更何故?
ドラ息子たちに財産を渡したくないのか?
どちらの事件もどんどん波乱を起こして複雑になっていく。そしていつの間にか
交わって来る。
どこが?
なぜ?
どうして?
リトゥマと同じように町や村の普通の暮らし、原住民族への差別感そんなもろもろが
目の前に立ち上がって来る。
とても面白い。
よくできたサスペンスを読むようだ。

六代 豊竹呂大夫、片山剛、「六代 豊竹呂大夫 五感のかなたへ」
文楽の太夫の話、人形遣いの人の話、そう言うのを読むのはとても面白い。
わしはずっとサラリーマンで暮らしてきたんで、そういう世界のドロドロは隅々
までようわかってる。そやけど職人さんの世界、芸人さんの世界、徒弟のしきたりの
厳しい世界なんちゅうのはさっぱりわかってない。そやから余計興味があるし、
面白い。自分に厳しい、あるいは優しい、他人には厳しい、そして理不尽がまかり通る
ややこしい世界、そんな中でアイデンティティを磨くのは大変な話で、部外のわしらは申し訳
ないけど唯面白い。ここではそんな芸事の世界だけでなくて、個人としての生き様が
描かれていてそちらの方が親しみ易くて味がある。多分わしと同世代の人なんでは
なかろうか大江健三郎やら高橋和巳なんかを読んではる。
新しいものへの取り組みもとてもいい。
そういえばしばらく文楽に行ってないなあ、行きたくなってきた。

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ありがとうございました。