最近読んだ本、「残月記」、「たかが殺人じゃないか」。

  • 2022年7月15日
  • 45人

小田雅久仁、「残月記」。

なんだか、強烈な印象を残す本。とてもシュール。
ありえない世界がまざまざと目の前に立ち上がってくる。
不思議な短編集。
・そして月がふりかえる
大槻高志は順風満帆とはいえないかもしれないけど、普通に妻も子もいる暮らし。
地道ながら大学教授ではあるし、著作もある。
しかし、時々月が気になる。子どものころは自分の影に怯える子でもあった。
それがなぜかはわからない。
その日は、満月の夜。なにかありげな月が上ってきた。
変な予感がする。
彼は妻と子をつれて、いつものレストランに行った。何かのお祝い?
そして、事件が起こった。
トイレから席に戻る。「えっ、あなたはどなた?」
さて、彼はどうなる?
月の呪いなのか?
あの男が大学教授でこの俺はタクシーの運転手なのか?
・月影石
私は澄香、32歳ではじめて男と暮らし始めた。
小さい頃から桂子さんというおばさんに可愛がられた。この人は一風変わった人で
珍しい石の収集などに没頭する人だった。
中でも月景石というのが気になった。
こんな石だ。星空に浮かぶ青白い地球、その下に聳える巨樹、そんな景色に見える。
しかも、その石を枕のしたに入れて寝ると、恐ろしい夢を見るというのだ。
どんな夢。
そんな夢見てみたい気もする。
イシダキたち。とらわれの暮らし。わたしもその中に。
イシダキたちはどこへ連れていかれるのだ?
ユウアヌイアは木の声を聞けるのか? 最後の石を持つものはだれだ?
大いなる石。旅立ちの日がくるのか?
そして何が起こる?
サイトウとは?
なんなんだこの世界は。 人間はどこへ消えたの?
・残月記
月昂者とは?
22世紀となったいま、謎の病、月昂は、撲滅された。
それまでに凄まじい月昂者の悲劇があった。隔離、抑圧、療養所、管理・・・
救国党による一党独裁政権時代がはじまり、月昂感染者強制隔離政策の下、
7万人から3000人になってしまった。
宇野冬芽はその月昂者の子として幼少期を孤児ですごし、貧しい暮らしの中、
とうとう自らも月昂に犯されてしまった。
隔離施設で死ぬのを待つだけか? 牢獄から抜け出すことは? 生きる術はないのか?
ある日、剣闘士にならないかと誘われた。
時の総理、下條拓の趣味から始まった。古代ローマのグラディエーターたちの戦いの
ような催しがあるのだ。
勝てば女を抱ける? それ以外のいいことも?
引退くらしも夢ではない?
しかし、猛将、激将たちの中で勝ち続けることができるのか?
そのことに意味があるのか?
ある日、不思議な男が訪ねてくる?
狙いは何か?
いったい何が起こるのか?
宇野冬芽は木彫りにどんな思いを込めたのか?
円空仏の世界なのか?
とても哀しい。
しかし、えらい盛りだくさんやなあ。劇画見てるみたい?
知らんけど。
面白いけど。

辻真先、「たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説」。

「犯人はお前だ」
鉄筆の先端で廊下に面した戸を指したとたん。タイミング良くその戸が開いたから驚いた
別宮操が入ってきた。
「ヘエ、私が犯人?」
えらい、作為がきつそうなミステリー。
わかりやすいけど、面白い。
舞台は昭和24年のあたり。
わしが、生まれたちょっと後、とてもなつかしい世界がその生活の空気が立ち上がる。
とても良い。
戦後、すぐ後の、名古屋、栄町あたり。老舗の息子、風早勝利登場。
学校はいきなり共学に。とまどう男の子、元気な女の子。
さて、どこにもある、映研、推研。
とても分かり易い。
どっちの顧問でもある、別宮操先生。あだ名は巴御前、尾張徳川家の別式女の家系なのだそうだ。
若者たちも勢い盛ん。先生も元気一杯。
どんどん盛り上がる中、湯谷温泉の旅荘ゆやで合宿をすることになった。
そして、おあつらえむきに第一の殺人が起こった。
地元の名士、徳永信太郎が死んでいるのが見つかった。殺人か?
しかし、密室ではないか?
犯人はどこからも入れない?
警察も悩ましい。
さて、次は映画制作だ。本格的なものはできるはずもなく、簡易的なものではあるが
若者たちは工夫を凝らしてがんばる?
ところが、肝心の日に台風襲来。
そして嵐の中で事件は起こった?
さて、これも殺人事件か?
両方の事件に関連はあるのか? 犯人は?
誰が推理するのか? 那珂一兵とは誰か?
とても分かり易い。
とても面白い。

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ありがとうございました。