ヨナス・ヨナソン、「天国に行きたかったヒットマン」
この人の本、「国を救った数学少女」、「窓から逃げた100歳老人」どちらも
ものすごく面白かった。抱腹絶倒ものだった。なんと言うハチャメチャな発想、
なんと言う大胆不敵な行動、世界の大物を手玉にとって、民間人の癖に原爆まで
手に入れて、何をするやら、予測不能の大活劇、そんなこと有り得へん世界やのに
変に説得力がある。素晴らしい。
これもそんな本だ。
素手で一発で人を殴り殺しかねない、あるいは殺ししかできない、そういう恐ろしい
男が刑務所からでてきた。彼をヒットマンアンディシュと名付けよう。
ふらふらと場末の安ホテルにやってきたがそこにはどじな受け付け係の若い男と
教会から追い出された若い女の牧師がいて、そこからわけのわからんドタバタが
始まる。わかがわからんうちにヒットマンアンディシュのこわもてと腕っ節が
金になるとわかってきた。もはやブランド化していて、どこをどつくか、骨の
一本も折るかでビジネスが成立してしまうのだ。
金はいくらでも入って来る。
しかし、うまい話は長くは続かない。
ヒットマンアンディシュは神の道に目覚めるのか?
受注した暴力沙汰はどうなるのか?
裏世界のボス、伯爵、伯爵夫人は彼らをどうするのか?
軽くて楽しい、ゆるっと楽しめる。
稲田篤信編著、「雨月物語精読」
大分前になるけど、「雪女」って映画をみてとても面白かったんで怪奇物の原作を
読んでみたくなった。けど、ラフカディオ・ハーンの本はあんまり面白ろなかったんで
こっちにしてみた。「雪女」の話はないけどとても面白い短編集だ。
白峰
有名な西行が崇徳院の墓を訪ねて亡霊を諌める話。
菊花の約
来年の重陽の節句に又会おうと固い約束をしたけど、訳あって死んでしまった男が
律儀に約束を果たそうと魂になって会いに来る話。
中国の昔話からとったと思う。
浅茅が宿
いにしへの真間の手児奈をかくばかり恋てしあらん真間のてごなを
有名な真間の手古奈の悲恋の話。
夢応の鯉魚
夢の中で鯉になって遊んでいたが、釣られてしまった。
ありゃりゃと思ったら目が覚めた。
これも中国の昔話からとったと思う。
仏法僧
忘れても汲みやしつらむ旅人の高野の奥の玉川の水。
高野山の奥の玉川の水は飲むなと弘法大師の言い伝えがあるらしい。
この本では思い違いと書いてるけど、玉川上流では銅や水銀がとれた事があるんで
やっぱり毒があったんとちゃうやろか(私の意見)。
高野山で秀次たちの亡霊に脅される話。
吉備津の釜
吉備津神社釜占いの話は今もこの神社に残っている。
蛇性の婬
有名な道成寺の話。
清姫に見込まれた安珍の話のバリエーションか?
青頭巾
死人を食う鬼になる。
これも中国の昔話やと思う。
貧福論
読みやすくて楽しい。
たまには昔話に触れてみるのもいいと思う。
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ありがとうございました。