最近読んだ本、「海の見える理髪店」、「絢爛たる影絵ー小津安二郎」

  • 2017年6月14日
  • 20人
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萩原浩、「海の見える理髪店」
不思議な理髪店があった。何の変哲もなさそうな田舎の店に不思議と客が絶えない。
しかも有名人がお忍びで来ることも多いのだそうだ。かっこええ。
そういう店がいつのまにか客を取らなくなったようだ。
ある日、若者が一人その店を訪れた。
そして・・・・。
久しぶりで実家を訪れた。母はどうしてる?
私にとっては自分勝手で、独りよがりで、押し付けがましい・・・
しかし、老いが母をどう変えたのか?・・・・・
こんな夫とやっていけない。子供をつれて実家に帰ってしまった。しかし、
実家で居所はあるのか? そして不思議な手紙が・・・・・。
とてもシュールな話でもある。
母の離婚で実家に連れられてきた茜、子供にも絶えられない貧しさとやりきれなさが
続く。ある日、茜は海を目指して旅にでる。そして出会ったのは・・・・・?
父が残した形見の時計、あんな人生で僅かにのこったお宝のようなもの、どれほどの
値打ちが? お金より人生の足跡か?
中学生の娘が突然なくなった。それから数年。成人式を迎える日がやってきた。
未だに娘のことが忘れられない。夫婦がとった意表をつく行動とは?
あまりにも切ない。
少しほのぼの、少しビター、少しシュール、少し素敵でかっこいい、少しおかしい、
少し哀れ、少し哀しい。
すこしずつの短編集。時々心が離れ、時々引き寄せられる。
そんな短編集。

高橋治、「絢爛たる影絵ー小津安二郎」
強烈な個性を強烈に描いた強烈な作品ではなかろうか? 作者は小津安二郎を
とても嫌いでとても憎んでいてしかもその個性と才能にどうしょうもなく惹かれて
それを認めざるを得なくてあえて描く、描くからには余すところなく描くという
心の中から生まれた本なんとちゃうやろか?
それにしても映画ってなんて恐ろしい、こんなに鬼気迫る環境の中からでしか、
生まれて来んとあかんもんなんやろか? わしは素人やから映画を見てもその裏側は
なんもわからん。ただストーリーを追って、喜んだり悲しんだり、笑ったり泣いたり、
興奮したり、感動したりしてるだけやけど、それがどういう企みの元に組み立てたてて、1枚、
1枚のカットに落とし込むのか、役者は何をどうみせるのか、観客の心と視線を
どう誘導するのか? ありとあらゆるところに拘りと才能が妥協なく注ぎ込まれる
ところがなんと凄まじい。
小津の映画がこんなんやったら他の人の作品ってどんなんなんやろ、今の映画は
どんな風につくられているんやろ? これから映画をみる見方が変わって来そう
やなあって思う。いろんな興味と疑問をもってしばらくは映画を見るかもしれんけど
そんなん知らんし、考えもせん方がかえってオモロイかもしれんとも思ったりする。
プロの世界って怖いですなあ。
シンガポールの話も面白い。

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ありがとうございました。