最近読んだ本、「鬼殺し 上、下」、「河畔に標なく」

  • 2017年5月20日
  • 1人
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甘耀明、「鬼殺し 上、下」
台湾、客家と言われる中国、福建省から流れたきた一族たちが住む村の山の中に
じいちゃんと二人暮らしの少年がいる。そこは少数民族タイヤル族の村でもある。
関牛窩グアンニュポー 。
山深い自然の中で暮らすその子は変わったどうも資質をもっているらしい。大地や森の
精霊たちと話ができるし、地下に眠る鬼王や他の亡者たちとも話ができる。
そして、村の誰一人及ばないほどの力持ちでもある。
時代は日本統治時代に入った頃だ。
ある日、とうとう日本軍がやってきた。いつか青年になっていた帕はその力を認められて
日本軍中佐の養子となし、入隊する。
その中でも異能を発揮して活躍する。飛行機と戦う? 機関車と戦う?
骨太の物語にぐんぐん惹きつけられる。時空を超えて、天空を超えて自由自在だ。
圧倒的な迫力。
まるで、石川淳の小説を読んでるみたいだ。
そしてこんどは国民党軍が入ってくる。
爺さんや鬼王の聖地はどうなる? 帕はどこに行く。
戦後の動乱を生き抜けるのか?
自然と精霊の村はどうなっていくのだ?
私は一体なにものなのだ?
故郷を無くし、身を削って生きていかないといけないのか?
二・二八の台湾の姿が立ち上がる。
分厚い二冊の本が何の重荷にもならへん。どんどん読んでいける。
そして台湾の山の、森の暮らしがどんどんと立ち上がってくる。
こういう台湾の描き方はすごく新鮮だ。
前に読んだ「神秘列車」と通じるものがある。
とても面白い。

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松戸与一、「河畔に標なく」
先日、友人とエベレスト街道を歩きに言った時のことだ。部屋の窓から、テラスから
エベレストが観れるというのが売りのエベレストビューホテルに泊まった。
2泊3日を歩き通して3880メートルまでやっと辿り着いたのに、えらい天気が悪い。
2泊する予定やし、乾季の真っ只中やからまさか雨が降らへんやろし、偶々
天気が悪くても1日くらいは晴れるやろと高を括ってたら毎日森々と雪が降る。
そういう状況は旅のブログで詳しく書くんでそちらを見て頂きたいんやけど、
その雪の間はどこも行けなくてホテルで暇つぶしをするしかなかった。仕方ないんで
ロビーの喫茶コーナーでダラダラしてる時にこの本を見つけた。どうせ暇つぶし
やからとぼちぼち読んでたら、とても面白いではないか。
軍事政権下のミャンマーの話だ。ミャンマーは去年行ったばっかりやからとても
興味がある。
民主化運動で逮捕された男がいる。サディストのような刑務所副署長に連日おのれの
楽しみのために拷問されている。ところがある日突然その男が刑務所を脱出した。
副署長は官憲よりさきに男を捕まえて口を封じなければならない。
ミャンマーでも観光化が進んでいる。外国人向けの高級リゾートを作ることが
大きなビジネスのチャンスだ。ある男が自分の夢を叶えようとしてる。しかし、
おいしい話に群がる欲深い男たちに食いつかれボロボロにされそうになっている。
どうしても金を作らないといけない。
中国マフィアの手先になって軍部の腐敗した連中と麻薬の取引をしてる男がいる。
しかし、身辺があやうくなってきた。最後の取引の金をネコババしてどっかに
ずらかろう。
そして、ヘリが墜落。
金が消えた。
誰が?
誰が誰を追い、誰が誰に追われるか? 追いつ追われつ。
金が一体誰が持ってる?
ミャンマーの密林の中を追いつ追われつの大アクション。
場所が場所だけにとても面白い。
中国、タイ、ミャンマー、国境を接する妖しい地帯だ。

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