カルロス・バルマセーダ、「ブエノスアイレス食堂」
名前につられて読み始めた。ブエノスアイレス食堂、何か響きがいいではないか。
南米の果て、ブエノスアイレス、大都会の場末に小さな食堂があって、毎日、見てくれは
悪いが信じられないほど美味いモノを食わせる料理人がいて・・・・
こんなことを想像していた。
ある意味そう外れてはいない。
が、実はもっと壮大だ。
幻の、「南海の料理指南書」なるものが登場する。
戦乱のスペインから流れ流れてたどり着いたブエノスアイレス、マル・デル・プラタに
レストランを開いたのは、後に天才料理人と言われた、ルチアーノ、ルドビーコの
カリオストロ兄弟だ。
彼らの残した、「南海の料理指南書」とレストランは世界大戦の混乱の中で、数奇な
運命をたどっていく。
しかし、代々の料理人が産み出す料理はすばらしいものばかりだ。
・・・・
バカラオ鱈のビスカヤ風
胡椒をまぶしたバカラオ一切れ、短冊切りにしたタマネギ、ニンニクをひとかけ丸ごと、
茹でて鉢で潰した卵の黄身、植物油で焼いて出たバカラオの焼き汁、
これを弱火でとろとろと焼いていると、そのうち魚の切り身はシェフの腕前に音をあげて
一丁あがりだ。
・・・・
舌平目のルチアーノ、オレンジとローズマリーのソース
三枚におろして塩胡椒した舌平目をオリーブ油で焼き、すぐにフライパンでオレンジの
果汁に漬け、焦げ目がつきそうになるまえ火にかける。ローズマリーの葉とひとつまみの
黒胡椒を加え、それをサフランで色づけした白米とともに盛り付ける。
・・・
こんな感じだ。
ほんまにおいしかどうかはようわからんけどね。
しかし、こんな話だけならそれなりに楽しいが、この中にもっとどす黒い話が混ざってくる。
カニバリズムにとりつかれた赤子の話だ。
いくらなんでもこの部分は読んでて嫌になる。
蔵前仁一、「旅で眠りたい」
日本からアフリカを目指して、アジアの国々をめぐりながらゆるゆると旅をする話だ。
ご夫婦二人で放浪ともいえる旅だ。
金子光晴のように頽廃的、文学的ではないが、あてどもなさでは似たようなものかも
しれない。
最初は沖縄から台湾を目指す。香港に渡り、当時入りにくかったラオスを狙う。
何時次の国へ、どんなタイミングで・・何も決めていない旅だ。
ラオスに入れずにタイに向かう。
そこからインド。インドで凄まじい経験をしてパキスタンへ。
そこからイランに行き、トルコに向かう。
私がしたい旅とはちょっと違うが、すごい旅のプロだ。
プロのバックパッカーってこんなんなんやろね。
行きたいところが又沢山増えた。
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ありがとうございました。