エリオット・へスター、「地獄の世界一周ツアー」
フライトアテンダント爆笑告白記とある。前のフライトアテンダントものの続編みたいな
ものだ。
確かに面白い。本が成功したからか、いろんな事情があったのか、フライトアテンダントを
やめた著者が世界一周旅行に出る話だ。
この人の旺盛な好奇心でおのずといろいろな事件に巻き込まれていくのは読んでいて楽しい。
本当はシリアスになってしまうような事でも明るくとらえてしまうと楽しい笑い話になって
しまうこともある。そういう姿勢はいいかもしれない。
「こんな旅ができたら楽しいやろな」と思わせる話が満載だ。
行った事がない国も多いのでおおいに参考になる。
ちょっとうけを狙った描き方が気にならないでもないが、文庫本なので旅のおともに持ち歩いて
楽しむのにいいものだ。
軽くて楽しい。
オルファン・パムク、「イスタンブール」
表紙の写真と副題「思い出とこの町」でいっぺんに惹きつけられた。
イスタンブールと言えば、行ったことがないし、今までは中東の陽気で賑やかな街という
イメージを持っていた。東西の交通の要所であるとか、その要になる港町であるとか、
過去のトルコ繁栄の中心になったところであるとかの教科書的な知識が引き起こすものだ。
表紙の写真を見て、中をパラパラと見ていたら、まるでノスタルジックな石版画の世界だ。
霧の中のボスポラス海峡、ブルー・モスク、アヤ・ソフィア、トプカピ宮殿、
雨に煙る街。路面電車。
そして、想い出の中にある景色と共に、過ぎてきた過去の事、家族の暮らし、父や母の事、
淡々とそして実に詳細に語っていく。
イスタンブールの暮らし、人々の暮らし、それらがどんなふうに語られてきたのか、
どんなふうに描かれてきたのか。
こんな風景に出合えるのなら、是非一度行ってみたいものだ。
しかし、心のうちにある風景は、ちょっと通りすがっただけで簡単に覗けるもの
ではないだろう。
でもやっぱりええとこやろうなあ。
この本分厚くて読むのはちょっと大変です。
毎週火曜は最近夢中で読んだ本の話です。