ラン・カオ 、「蓮と嵐 」
開高健の「輝ける闇」はすごいなあって思った。近藤紘一の「サイゴンのいちばん長い日」、
これもすごい。グレアム・グリーンのおとなしいアメリカ人、これもすばらしい。
他にもベトナム戦争を舞台にした本はたくさんある。タイトルを見たり噂を聞いたりしたら
つい読んでしまう事が多い。
戦争の悲惨さ、戦争に巻き込まれる人たちの苦悩と悲劇、戦争によって壊れてしまう
心たち。考える事は沢山あった。惹きつけられることも沢山あった。それが何か
はようわからんまま、気がついたら何度も「サイゴン」、今でもホーチミンよりこっち
の方が親しみやすい呼び方とちゃうやろか、に行っていた。よう考えたら唯の物見遊山、
本に話の裏に表に垣間見えるサイゴンやら東南アジアの妖しい熱気に惹かれてただけの
ようでもあった。
この本ではは又違う驚きがあった。
乱暴な言い方をすればあっちから見た世界とこっちから見た世界だ。
わしは愚かにも、あのサイゴン陥落の日、これで戦争が終わったら、いきなり平和がやってきて
秩序がやってきたと思ってた。でも現実はそんな生易しいもんではなかったのだ。
マイはアメリカにいる。サイゴン陥落の日に父親に連れられてヘリで逃れたて来たのだ。
でももうすでに心は壊れてしまったかもしれない。
父親も殆ど寝たきりの生活になってしまった。
家族で過ごしたサイゴン最後の日々が蘇る。
ロックとコカコーラが大好きな娘たちとアメリカ兵との交流。そして悲劇が起こった。
戦の中の街に常にある悲劇。
姉はどうなった? 家族はどうなる?
誰が敵か? 誰が味方か? 信頼と裏切り、愛と欲望。
そして戦いは終わった。 本当に? 平和と幸せが? 本当に?
手ひどい仕返しが始まる。 大量のボートピープル。
なぜか必ず現れる海賊たち、略奪と強姦。
母はどうなった? おじさんは? 親しかった人たちは?
夢中で一気に読んでしまった。
とても印象深い本だ。
阿川佐和子、「強父論 」
テレビでも活躍してるし、エッセイストとしても有名やし、阿川弘の娘さんやし、
てなことで興味を持って読んでみた。個性強い父の姿や、志賀直哉家との交流など
いろいろと楽しい内容であった。
それで、気になってお父さんの本を読み直してみた。
阿川弘、「南蛮阿房列車」
内田百間の阿房列車をもじった鉄道話だ。有名な鉄ちゃんらしいから旅の話として
とても面白いし、鉄道に対するこだわりも楽しい。
マダガスカルの鉄道、アフリカの鉄道、イギリスの鉄道、ヨーロッパの鉄道、
台湾の鉄道、アメリカの鉄道・・。列車の中の話も面白いし、それにまつわる
土地土地の話もおもしろい。でもやっぱり内田百間がええかなあ。
別のスタイルにしてほしかった。北杜夫の書評が楽しい。
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ありがとうございました。