高野秀行、「謎の独立国家 ソマリランド」
世の中、面白い不思議な国があるもんや。
題名に惹かれて読み始めたけど想像以上の内容であった。
こんな国がほんまにあるなんて信じられへん。アフリカ、ソマリアと聞いたら
「やばい」と言う言葉がすぐ頭にうかぶ。毎日銃撃戦があって海賊が横行して
戦争と暴力と飢餓と難民の国みたいなとこと想像してた。
そんなところへ著者が潜入するという。どんな恐ろしい事が起きるんやろと
わくわくしながら読み始めた。
ところがソマリアの実態はソマリランドとプントランドとソマリアと言う、3つ
の国からなっていて(国際的には認められてないらしいけど)、中でもソマリランド
と言うのは理想的ともいえる平和国家なのだそうだ。アフリカというと部族抗争
と思い勝ちやけど、部族ではなくて氏族間の争いなのだそうだ。それが時には
血で血を洗う戦闘になって、殺した殺されたで収まりがつかへんようになるん
やけど、ここでは長老会みたいなのが機能して氏族間の調整ができて、殺した
殺されたも羊何千頭なんかで話がついて、議会もできて政府もできて極めて
治安のいい民主的な国ができたのだそうだ。こんな話ほんまかいなと思うけど、
その実態を読んでみると実に面白い。しかも隣のプントランドに潜入したら
まるでやばい国なのだ。
アフリカと言うのは思い込みで考えてはいけない複雑怪奇な面もあるのだ。
抜群に面白い旅の本だ。
蓮池薫、「半島へふたたび」
この人の本を一度読んでみたいと思っていた。
拉致という事件の中に一体何があって、その被害者は何を考えて、何を背負わ
されてしまったのかということに興味があった。
しかし、そういう事を語れる気持ちでもないし、立場でもないし、時期でも
ないのであろう。この本はそういう事が主題のエッセイではない。
帰国してから著者がどういう風に生きようとしたか、翻訳者と言う仕事が出来る
ようになることで韓国と日本の架け橋になろうとしていく歩みを淡々と綴った
内容になっている。
韓国への旅の本としても面白い。
読んでいて、素直で抑制の効いた穏やかな人柄を感じて好感を持てた。
やはり強烈な経験がきっとこの人の文章に深いものを与えていることだろうと
思って、この人の翻訳本を読みたくなった。
近いうちに必ず読もう。
韓国にも行きたいなあ。
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ありがとうございました。