最近読んだ本、「黄」、「縛られた巨人 南方熊楠の生涯」

  • 2020年5月16日
  • 6人

雷鈞、「黄」
ここはドイツ。ベンはまだ少年だ。目が見えない。孤児院で育てられたらしい。
そして、同じ孤児院にいたヤスミンと共にヴァイマル夫妻に養子として引き取られた。
とてもお金持ちだ。ベンはどうも中国人らしい。
ある日、中国のある田舎町で子供の眼球がくり抜かれるという痛ましくも不思議な
事件が報道された。ベンはとても興味を抱いた。
物語はこんな風に始まる。
ベンはとても賢い子だ。目が見えない分、鋭い嗅覚と直感力も持っている。
孤児院生活のなかでそれが発揮され、養子に選ばれる要因にもなった。
ベンは中国に行こうと思う。現場に行ったら見えるものがあるはず。わかることが
あるはず。あわよくば真相が。
両親はインターポール職員でもある温幼蝶と一緒にということで許可してくれた。
舞台は、山西省の黄土平原、ヤオトン(横穴住居)のある村へ。
調査を始めるうちに次々と不思議なことが起こる。
そして様々なことがわかってきた。
ベンは核心に迫っているのか?
しかし、どこか不自然だ。
島田荘司推理小説賞を受賞した台湾人、香港人、中国人の作家の本はいつも楽しみだ。
とても面白い。
この本もそうだ。
小気味よく、意外な方に話がすすんで、驚愕の結末を迎える。
わざとらしさもないではないけどとても面白い。

神坂次郎、「縛られた巨人 南方熊楠の生涯」
ご近所(そう近くでもないけど)に住んでた方がなくなって、蔵書を廃棄する前に
要るものがあったら持って行ってもいいという話で、熊楠の名前をみつけていただいて
来た本だ。
郷土の偉人、奇行、奇人として知られる人ではあるけど在野の天才学者であるという
以外にはあまり詳しく知らなくて、それでもとても興味があった人なんでちょうど
よかった。
何故か、後半生の逸話が多い田辺の方、熊野に近いあたりの出身でそこに住んでおられた
人という思い込みがあったけど、実際は和歌山市の出身であった。
しかもなんと旧制中学時代はわれらが母校の前身の学校に行ってたのだ。
博学強覧、驚異の記憶力、お金はなくてもあらゆる本を読ませてもらって、覚えて帰って筆写する。
そして上京、東大予備門へ。関心のあることしか勉強しないという性格が災いして
進級できない。
アメリカに渡る。論文発表が認められ評価はされるものの収入はほとんどない。
サーカス団に入り流浪の生活。
そしてイギリスへ。
なんと数奇な人生か。
イギリスでも就職高収入の道よりは孤高の研究者の道をえらんで貧しいくらしがつづく。
なんという自意識。なんというサムライ。
冒険談がつづく。
帰国しても金と栄誉とは縁がない。
さらに冒険談が続く。
すごいけど、常人には真似できへん。素晴らしい人だ。
やっぱり南方熊楠だ。
あらためて尊敬する。

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