沢木耕太郎、「春に散る、上下」
久し振りの沢木耕太郎の小説だ。ノンフィクションは沢山読んだけど小説は少ない。
けど、どっちがどっちでも面白かったらそれでいい。ノンフィクションとは又
違った世界が広がっててとても印象的だった。ノンフィクション以上に劇画的な
展開で最初は戸惑ったけど読んでるうちにどんどん引き込まれて行った。上下
2冊の本やけどあっと言うまに読んでしまった。
ある日、発作的に飛行機に乗った広岡はフロリダ半島の最南端に向かう。アメリカに
渡ってもう何十年にもなる。それなりの成功を収めたし、それなりのお金もできた。
しかし、こころのどこかに何かの風が吹いている。心臓発作で倒れたのをきっかけに
その何かを見つける、見つめる心が沸き上がってきた。
日本へ戻ろう。
何をどうするかはわからんけどひとまず昔のジムを訪ねよう。昔の仲間を訪ねよう。
広岡は将来を嘱望されたボクサーだった。真拳ジムの四天王と呼ばれた男達は
今はどこでどうしてる?
日本で居場所を求め、彼らを探して話して居るうちに一つの形が見えてきた。
おいぼれボクサー達のシェア-ハウスを作ろう。
面白い。
そしていつか、1人のボクサーをチャンピオンにする夢が生まれるのか?
この本でとても印象的なのはボクシングの試合の描写だ。まるでノンフィクション
そのものだ。男達の闘いを目の前で見ながら実況を克明に綴るように、そのパンチの
動き、こころのざわめきを見事に立ち上がらせてみせる。
とても素晴らしい。
広岡はどうなる?
彼ら四天王はどうなる?
彼らの夢は適えられるのか?
岡崎大五、「サバーイサバーイ 小説 在チェンマイ日本国総領事館」
吉岡和喜は最近妻とうまくいっていない。なんとか起死回生をねらってチェンマイ
の日本総領事館へ現地採用してもらえた。楽しいチェンマイ暮らしが始まる?
しごとは邦人保護係。チェンマイに暮らす日本人は5000人を越えるそうだ。そして
老後の年金暮らしの居場所に選ばれる人気の場所でもあって、ロングステイの
老人達が沢山いる。その人達や偶々の観光客やいろんな日本人がいろんな事件を
持ち込んでくる。日々バタバタとその処理に取り組む暮らしもまんざら悪くもない。
しかし、どうも上司である副総領事の動きがおかしい。
きっと裏でなにかうさんくさいことに関わってるんとちゃうやろか?
そう考えるといろいろな妖しいできごとも腑に落ちてくる。
なんとかしっぽをつかみたい。
しかし、ある日、事件がおきた。彼はえらいことに巻き込まれてしまったらしい。
そしてそれは上司の陰謀かもしれん。
なんとかしなくては。
果たして吉岡はどうなるのか?
事件は解決するのか?
とても面白い。
この人の本は、添乗員シリーズとかでとても面白い旅の本として何冊か読んできた。
どうもタイの暮らしに精通してるみたい。
そやからかチェンマイに暮らす日本人達の暮らしぶりがとても生き生きと描かれて
いて、前に旅行で行ったことがある、あああそこがそういうとこやったんかとか
あのあたりがこんな風なんかとかいろいろ思い出されてとても楽しい。
ただの面白、どたばた劇というだけでなく読ませるところがあって良い感じだ。
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ありがとうございました。